夜のお茶会
場違いだと言えたとしても
わたしをお前はのかせない
いったい誰がわたしより
いったいどこがここよりも
ふさわしいのか言ってごらん
獣脂が焦げる臭いに満ちたほの暗い独房が、時折響くパチ、パチという音に震える。どこから迷い込んできたのか、羽虫が焼かれているのだろう。不規則な明滅を繰り返す岩屋に伸びた自分の影を見つめるうちに、昨夜の会話がぼんやりと浮かび上がってきた。
「昼間襲ってきた怪物のことは、どれだけご存知ですか?」
呼び出された二人に、千波が静かに問いかける。さえた藍色の絨毯の上をまばらな雲の影が滑り、か細い蝋燭の光が浮き沈みを繰り返す。不意に月明かりが途絶え、風音は生唾を飲み込み、小さく息を吸い込んだ。
「詳しいことまではお答えできませんが、大したことまでは分かってませんね。集団で行動すること、戦うときだけ姿を現すこと……消えたまま襲って来たらどうにもなりませんが。」
先に口を開いたのは、激の方だった。小さくため息をついてから、風音は努めて明るく答えた。
「ただ、消えると言っても、ガラスのように透明になるだけで、完全に見えなくなるわけじゃない。哨戒に力を入れて水際で迎撃できる体勢を整えれば、今度の様な事態は防ぐことができる。必ずだ。」
満足げに頷く激に横目で不平を伝えると、曖昧な笑顔が返ってきた。二人の様子を見た千波はクスリと笑いをこぼして、
「今こうしてお話しできるのも、おニ方のおかげです。どうして私が疑うことがありましょう。」
と太鼓判を押してくれた。風音の伸ばした手がティーカップに届かないうちに、激が切り返す。
「ですから、今はそのために少しでも多くの情報が必要です。」




