55/77
友軍
船と合流しなくてはならない――ゆったりと左折した亜邦を、弾幕が出迎えた。増援だ。前回の奇襲の時と同じく連絡が入っていたらしい。少しずつ小さくなった網は、見事に獲物をとらえていた。上空に逃げた亜邦を、いくつもの射線が追いまわす。とうとう一発の光弾が、亜邦の羽をかすめた。風音が覚悟を決めたその時、背後で硝子の砕ける音がした。
『悪い、遅れたな』
宿合と深雪の参戦に、緻密な包囲が引き裂かれた。浮足立った敵は、次々氷漬けにされてゆく。編隊を立て直した頃には、半数まで減っていた。隙を見計らって亜那も高度を上げ反撃に転じる。
ところが、息まく風音に出番は回ってこなかった。これからというところで、敵がすごすごと下がってしまったのだ。
『水の富良樹かな。地元の守備隊が、本体と交戦してるみたいだ』
『任せてしまってよいのですか』
『風音』
『船団の護衛に戻ります』
宿合が返す前に、亜邦は切り返してしまっていた。遠ざかる影を、一言で讃える。
『しっかりしてら』




