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受付係
並んだ影と
角で別れて
鞄を抱えて
小さく駆け足
鏡も財布も
放課後も
距離の
向こうへ
置き去りに
広い部屋
窓際に
私は
帰
っ
て
・
・
・
初めて会議室に呼び出されたのは、街が落ち着きを見せ始めた、五日目の朝だった。受け入れに騒ぎが重なったため、予定が大きく狂ってしまい、他にもお預けを食らったものがいた。
重たい扉を押し開き、本部のロビーに歩を進めると、押し込められた喧騒が、熱気ともに迫ってきた。そこかしこで飛び交う指示や挨拶、重なり合った鋭い靴音、復興の準備が急がれる中、窓際で談笑するものもいた。四日も前の記憶を手繰りながら、ちらちらとロビーに視線を巡らせていると、受付係に捕まった。
「おはよう、風音ちゃん。あらら?もしかして、今日は初任務?」
会議室の場所を教えてくれた、当の本人が、この女性である。初対面にもかかわらず、寮の説明を受けた時からこの調子で、目をかけられたか、目を付けられたか、何かと話しかけてくる。
「おはようございます、苑枝……さん。これからすぐにブリーフィングがあるので、今日は――」
「それじゃ、いってらっしゃい。頑張って!私たち、いつも応援してるから」
人の良さに救い出されて、そっと胸をなでおろす。手を振りながらロビーを抜けだし、案内板をぶらぶらと探した。




