合流地点
赤みがかった夜空に昇ると、火の手の上がる街が見えた。洛澄本部は、早くも主戦場になり、入り乱れた敵と味方が、あちこちで破羅輪呪を撃ち合っている。花火の続きが演じられる中、風音は、把華の姿を探した。
『風音、早く旦那様と合流しないと』
唯祈が追いついてきた。
『分かっている。だが……』
『風音、果奈君、こっちだ』
狭まった視界の中に、把華の姿が飛び込んできた。真紅の翼が、右前方から、大きく弧を描いて上がってくる。
『父上、被害状況は?後続の友軍はまだですか』
たたみかける風音に、鍵悟は噛んで含めるように伝えた。
『まずは落ち着きなさい……住民の避難に一小隊あてがったが、まだ戦況の確認はできていない。こちらは片付きつつある。北端の>墓地に向かうぞ』
『了解』
三匹が向きを変えた、そのときだった。上空から風切音が、突き刺さるようにダイブしてきた。散開するが早いか、把華は仰向けのままロールせず、『円喇』で反撃する。身をよじって白熱した戦輪を潜った怪鳥と、把華の軌道が絡み合う。
『父上!』
亜邦をバンクさせて追いかけようとする風音を、鍵悟ははねつけた。
『先に行け。この敵を片付けてからそちらに向かう』
『父上に来ていただかなくては、』
『風音!』
呼びとめたのは、果奈だった。広げた翼で身体を釣り上げ、亜邦は唯祈の隣に引き返す。
『揃いも揃って、過保護にも程があるぞ』
『違うよ。私たちだけでも、戦況を調べることはできるもの。後で報告できるように、きちんと見ておけばいいの》
風音が答えるのには、少しばかり間があった。少しずつ、思い出そうとしていた。
『まあ、いずれにせよ逆らうわけにもいかない、か』
目の前には、果たすべき役目がある。忘れかけていた、なんとも簡単なことだ。二人は、町はずれの墓地を目指す。目立たないように高度を下げ、富良樹の外側に出る。大回りでゆけば、発見されずに済むはずだ。




