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援護
揉まれるように跳ね上がる硬質の翼が、すさまじい勢いで迫ってくるのが、いやに緩慢に感じられた。動きがあまりにでたらめで、どちらに転がるか、見当もつかない。凍りついた一秒は、覚悟を決めるのには十分すぎる時間だった。
視界を覆った硝子の巨体は、次の瞬間、朱い渦にさらわれた。ひらひらと回転しながら、厩舎の壁にうち伏せられる。『重禍』だ。当てやすいため、果奈が好んで使っていた。螺旋を描く炎の刃が、怪鳥を粉砕した。
『ごめんなさい、こんなに遅くなっちゃって』
夜空を横切る唯祈の影。阿那も一緒だ。緩やかに旋回して戻ってきた二匹は、砂利の音を立てて着地した。信じていた援軍が、最後の最後にやってきた。風音は、軽やかに駆け寄った。
『いや、助かったさ。そんなことより、迎撃に参加しよう』
言うが早いか、風音が乗り込んだ亜邦は、軽々、宙に舞い上がる。噴き出した通灯の炎が、闇夜に逆襲の軌跡を描いた。少し遅れて、唯祈が追随する。
二人の初陣は、反撃から始まった。




