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「君たちは、今何しているのかを理解しているのか」
走行中、車内で帝は憤りを顕にした口調で赤川に聞く。
「帝、畏れながら申します。我々は決して遊びでやっておりません。この日本を変えるべく、今日決行した次第でございます」
赤川は冷静に、そして敬意を払って反論した。
「こんな事して何になる。陸路を断ったとしても、空や海から君たちを捕まえに来る。時間の問題だよ」
「たしかに、ご尤もなご判断かと思います。ですがそれは不可能に近いかと思います」
「……どうしてだ」
「後ろをご覧下さい」
帝は後ろに振り向く。窓の外には機動隊どころかパトカーもいない。
帝は、不思議に思い赤川に聞く。
「なぜ、いないのだ」
赤川は不敵な笑みをこぼし指示を出す。
「鈴木、ラジオを付けよ」
「はっ」
運転しながら鈴木は、左手でラジオの音量を上げる。
聞こえてくるのは臨時放送の緊迫したアナウンスの声。
「……繰り返し、お伝えします。中部地方をはじめ、近畿地方、中国・四国地方、九州地方の県庁が、ほぼ同時に襲撃されたという情報が入ってきました。繰り返しお伝えします……」
鈴木はラジオの音量を下げ、運転に集中する。
「これが答えです。我々を捕まえる暇では無くなったのです」
「……そんな、まさか……」
愕然とする帝。しかしこれが結果であり、始まりである。
車は鴨井たちが制圧したであろう京都御所に着く。
「帝。着きました」
赤川は車から降り、帝が座っている後部ドアをゆっくりと開ける。
帝は、ゆっくりと車から降り赤川が案内する。
「さぁ、どうぞ。こちらです」
右手を前に差し出し、帝とともに京都御所の門を潜る。
左右には、紅い軍服を着た男たちが、対人する同士を見つめて敬礼する。
紅い壁が並ぶ中、ゆっくりと赤川と帝は本殿へ歩む。
本殿の前には鴨井が姿勢を正し敬礼していた。
鴨井の前で立ち止まり、赤川は敬礼する。
「お待ちしておりました」
赤川は手を下ろし返答する。
「ご苦労であった」
本殿に平手を翳す。
「帝。このままお進み下さい。我が仲間が世話役とします。何かありましたら、遠慮せずお申し付けください」
「……わかった」
帝は本殿の奥へと消えていった。
帝の姿が消えるまで見届けた赤川は、鴨井に聞く。
「状況、報告せよ」
「はっ。東経138度線の爆破は全て成功しました。中部地方、近畿地方の県庁襲撃はすでに制圧し、厳戒態勢となっております」
「中国・四国地方と九州地方の状況は」
「はっ。中国・四国地方は、未だ交戦中であり、戦況は有利であります。しかし、九州地方は苦戦しているとの情報」
「なら、中国・四国地方の制圧が完了次第、一部の兵士を九州地方へ向かわせよ」
「承知しました」
「それと、帝を護衛するため、ここ京都御所に何人か待機させよ」
「はっ」
「では、私は先に本部へ戻り幹部と軍事会議を行う。鴨井も本部へ帰還次第、出席せよ」
「承知しました」
互いに敬礼し、再び赤川は鈴木が運転する車に乗り込み本部へと向かう。




