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第二章:作戦決行

 男たちは脇目も振らず、帝が参拝している墓前へ駆け出した。

 「お、おい。あれはなんだ」

 帝を警護していた一人の男が、突如森から現れた、まるで血のように紅い日本軍服の集団に気づき悲鳴を上げる。

 それに反応した他の警護隊と少数の警察が、襲撃と認識する頃には、もう遅かった。

 赤川が率いる襲撃隊は、銃口を低く構えたまま距離を詰め、警護隊と警察を一瞬にして包囲、銃口を突き付けて制圧をする。

 赤い軍帽に紅い日本軍服、そして黒いマントを靡かせながら、ゆっくりと帝に歩み寄る。

 「帝。ご無礼お許しいただきたい。畏れながら人質となってもらいます」

 赤川は左手で帝の右腕を掴み、右腰に差した拳銃を右手で取り出し、帝の頭に突き付けた。

 「君たち、一体なにを……」

 帝は、震えた声で問う。

 「お許しください。我らはこの日本を変革するために立ち上がった者たちです。怪我を負わせるつもりはございません」

 日本解放戦線の突然の奇襲攻撃で、阿鼻叫喚のごとく関係者や報道陣は騒いでいる。

 泣き叫ぶ者もいれば、その場でへたり込む者もいた。

 このままでは、収拾がつかないと判断した赤川は、帝の頭から拳銃を離して空に掲げる。

 

 一発の弾丸を天へと撃ち、乾いた音と轟音が鳴り響いた。

 あれほど騒いでいた人々は、突然の発砲音に驚き一瞬だけ静まり返った。

 「諸君、静粛に。我々、日本解放戦線は、無差別な破壊を求めるテロリストではない。腐敗した日本を正すため、ここに参上した」

 全員の目線が、墓前で帝を人質に拳銃を突き付けた赤川に注目する。

 「各報道陣。すぐさまカメラを回し全国放送しろ。そして今の現状を言葉で伝えよ」

 恐怖に怯えつつも各放送局のリポーターは、カメラの前に立ちこの前代未聞であろう現状を、繰り返しお茶の間に伝える。

 それを確認した赤川は演説を始めた。

 「我々、日本解放戦線は、腐敗した今の日本を正すために参上した。諸君たち、今の政治をどう思う。国民に綺麗事を言いふらし、何一つ成果がない。自分たちの懐の心配ばかりしている金の亡者だ。あれが政治家とは笑止千万。くだらない議論で遊び、サークルという暇つぶしで立ち上げた各政党。なにが国民のため、なにが未来の日本のためだ。すべては優雅に暮らしていける自分たちのためだ。国民のことを考えているのは、ほんの一握り。それをつぶし腐敗化している。我々は国民を第一に考え、目安箱を設置し民の声を聞く。何が必要か、何を求めているか。我々とともに新しい国を建国しようではないか。」

 誰も声をあげる者はいなかった。

 赤川の演説に感銘し、頷く者もいれば涙する者もいた。

 制圧された警護隊と警察も、何も抵抗せず、何も言わない。

 ここに一つの共鳴が生まれた瞬間であった。

 赤川は続けて演説する。

 「何をするにも、始めは幾(・)分(・)か(・)の(・)犠(・)牲(・)は付き物だ。だが、それは覚悟の証でもある。今、我々が行っているのもその通りで国家反逆者である。しかし恐れはない。我々が先頭に立ち、国民とともに国を築き、ともに平和を守り、ともに未来へ歩もうではないか」

 仲間の一人が国旗掲揚台へ小走りし、空高く靡いている日章旗を下ろした。

 「さぁ諸君。新たな幕開けだ。掲揚台を刮目せよ」

 赤川の演説を聞いていた人たちが、掲揚台を注目する。

 新たな旗が、ゆっくりと天高く上りはじめた。

 そして、旗が頂点に達した時、新たな国旗となる旗が秋の冷たい風で靡いた。

 日章旗の色を反転させたかのように、外枠は赤く、中央は白い円の新たな国旗であった。

 新たな国旗をみた人たちは驚きを隠せず、ただひたすらに見続ける者もいれば、拍手を送る者もいた。

 「ここに宣言する。これより東経138度線を境に大和を建国する」

 赤川は革命宣言を告げ演説が終わる。

 

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