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草木が揺れ、風が通り過ぎる。
茂みに隠れて待機している赤川たちは、癒しとなる自然の温もりを感じる余裕はなく、ただ月道墓前を見ていた。
腕時計を見ると、13時48分。
まもなく運命の時が来る。
男たちはライフル銃を両手で構える。
聞こえるのは森の騒めきと息遣いだけだった。
「まもなく、帝がお入りになる。私の合図で警護隊と警察に銃を突き付けて制圧しろ。抵抗したら射殺しても構わない。いいか」
男たちは、覚悟を決めた瞳で赤川を見て、ゆっくりと頷いた。
赤川は、勇敢な男たちを見渡して激励をした。
「私を信じ、ここまで来てくれた君たちに感謝する。なんと頼もしい大和魂を持つ同志よ。私たちの手で、この国を正そうぞ」
勇敢な男たちは、握っているライフル銃を強く握り、再び月道墓前を鋭い瞳で見た。
神聖かつ静寂に包まれた月道墓前に、人影が一つ、また一つと現れた。
厳重な警備と報道陣が入り、そして神々しく先頭で先代帝の墓前に歩み寄る、燕尾服を纏った帝の姿。
茂みで息を殺し待機していた男たちは、今以上に強ばった顔になる。
「全員、私の合図を待て」
赤川は右手を挙げ、機会を窺う。
帝が墓前で立ち止まり、ゆっくりと深く頭を下げた。
「行け」
空に突き上げた右手を前に倒して合図した。
その瞬間、潜伏していた男たちは一斉に立ち上がり、烈火の如く月道墓前へ駆け下りていった。




