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69.公然バカップル


皆と話していると、シオンが迎えに来た。


「レイ!迎えに来たよ。帰ろう」

「もうそんな時間?」

楽しい時間はあっという間だ。


「昔のシオンは何だったんだと思うぐらい甲斐甲斐しいね」

ライが苦笑している。


「殿下、婚約者なのですから当たり前でしょう」

「まあ、レイが大事にされてるようだから私は安心だけどね」


「じゃあね、ライ。またね」

「ああ。いつでも遊びにおいで」


シオンと共に部屋を出て、馬車まで向かう道すがら何となく思った。

幸せだなあと。

「今日は楽しかった?」

「ええ。楽しかったわ。迎えに来てくれてありがとう」

「俺が一緒に帰りたかったから」

と最近ははっきり口にしてくれるシオンにどんどん惹かれていく。


「シオン、好きだよ」


ついポロっと口から出てた。

隣を歩いていたシオンの足が止まったからシオンの方を向くと、固まっていた。

「シオン?」

シオンに近付き見上げてみる。

すると、ぶわっと顔を赤く染めたシオン。


そして急に抱きしめられる。

「パフォーマンスじゃなかったのか?」

「パフォーマンス?」

「貴族たちへの牽制って言ってただろう?」

「シオン、牽制って意味わかってる?シオンを取られたくないから牽制してるの」

「それはそうだが」

「だからね、夜会で言った事も大げさな行動も全部嘘は無いんだよ?」

「じゃあこの前の夜会で言ってた、その、あ、あい」

「愛してる?本当だけど?」

というとさらにぎゅうぎゅう抱きしめてくる。

「愛情表現足りなかった?それとも夜会が大げさすぎる?」



「いいや。俺も愛してる」

「うん。ありがとう」


「レイ様、シオン様、いい雰囲気のところ申し訳ございませんがここは王宮の回廊です。いちゃいちゃするのは帰ってからにするのがおよろしいかと」

とメリッサが声を掛けてきた。

うん。そうだった。


それを聞いたシオンが体をさっと離す。

「わるい。でも、レイが悪いと思うんだ。何でこんなところで言うかなあ」

「だって幸せだなあと思って、気付いたら口から出てたんだもん」

「かわいい!!」

とまたガバリと抱きしめられる。


「シオン様、レイ様が凶悪に愛らしいのは今に始まったことではありません」

「そうだった」

凶悪に愛らしいって何。


「とにかく、人の目もありますし帰りましょう」

とメリッサに言われて周りを見ると、確かに見られている。

何かキラキラした目で。


「よし帰ろう」

とシオンは私の腰に手を回した。

王宮中に噂が回るだろうな。

むしろどんどん回ればいいと思ってる。

シオン狙いの女性が諦めるのに役立つから有名になってしまえばいい。


馬車の中では甘々モードになったシオンの膝の上に抱き上げられ、侯爵家に帰ることになったが否やは無い。

メリッサが嬉しそうな視線投げかけてくるのも甘んじて受け入れよう。


女性として生き始めて、初めてをたくさんくれるシオンに愛情が溢れる。

今日の反応を見る限りシオンは私がそこまでシオンを想っているとは想像してなかったのかな。

好きじゃ無ければ必死で牽制しないよ。

そんな鈍感なシオンも可愛いと思うのだから、私も大概である。



そして、王宮内であの(女性を寄せ付けない)シオンが婚約者を溺愛し、いつでもどこでもいちゃいちゃしていると噂が駆け巡ることとなったのだった。

さらに見る者すらも幸せな気持ちにさせてくれると女性使用人の中では有名になり、その後ガオナー伯爵令嬢が王宮へ来たら動向を刮目せよ!と目を光らせ、ガオナー伯爵令嬢に邪な気持ちを持った男どもを排除する役目も担ったとか。



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