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35.婚約の報告

シオン視点


あの後は大変だった。

家に帰り、両親に報告をした。


「親父、母上、報告がある」

「何だ?帰ってきて早々」

「なにかしら?」


「ローレライ嬢と婚約した」

事後報告である。


「何だって?」

「何ですって?」


「だからローレライ嬢と婚約した」


「「えええええええええ」」

と屋敷中に響き渡りそうなほど大声で驚きを叫んでいた。


「何があった」

かくかくしかじか


「シオン、もっとカッコよく求婚できなかったの?」

「シオンも一応頑張ったんだ許してやれ」

「でもねえ、今まで女の子でいることができなかったのよ?プロポーズぐらいは女の子が憧れるようなものがいいじゃない」

「シオンにそれができると思うか?」

「思わない」

「だろ?嫁を見つけてきただけでも大健闘だ」

「確かに」

俺の両親ひどくないか?

確かにちょっとカッコ悪かったと思ってるけど、一応求婚は王宮の庭園だし雰囲気はあったと思う。


「大変!明日には婚約指輪も用意しましょう」

「そんなに急がなくても」

「何悠長なこと言ってるの?ローレライちゃんは人気よ?デビュタント以降、釣書が山のように届いてるって噂よ?見せつけないといけないじゃない!」


確かに!

指輪を付けているのは婚約しているか結婚しているかのどちらかで、指輪をしている人は決まった相手がいる(つまり売約済みだ)からアプローチしないのが暗黙のルールになる。

ということで、ローレライ嬢を呼び出した。

今日も仕事を融通してもらっている。代わりに夜会の警備が当たっている。


両親と早々に打ち解け、愛称で呼び始める。

ちょっと待て。俺だってまだ呼んでないのに!

もちろん愛称呼びを許してもらい、母に揶揄われてどっと疲れた。


うちの商売の一つである宝石商を呼び、指輪を選ぶことにした。

どれがいいか聞くと、当たり前のように俺の色を指定してきた。

なにそれ可愛い。


「シオンも付けられるの?」

騎士は指輪を付けないことの方が多い。

「付けるよ。強い材質で作るか」

「私は外す時があるから通してネックレスになるようなチェーンも欲しいな」

良い!

「じゃあ俺も剣握るときは外してネックレスにするかな?」

と言うと

「シオンが剣握らない時って休みの時しか無くない?ずっと指輪してないことになるでしょう。だったらシオンが私のものだっていうのがわからないじゃない」

と小首を傾げている。

なにそれ可愛い!


「レイのもの?」

「そうよ!シオン、自分が超優良物件だってわかってる?」

「まあ」

「まあ。じゃないのよ!シオンが私をエスコートしたことで結婚する気があるとわかったら令嬢がわんさか寄って来たら嫌じゃない!」

とぷりぷり怒っている。

なにそれ可愛い・・・。

そんなわけないのに。


「シオンはもう売約済みよ!って知らしめないと!」

と拳を握っている。


「かわいい」

つい心の声が漏れた。


「じゃあやっぱり変形しにくい硬くて強い材質で。色はプラチナゴールドの台にブルーダイヤか?」


俺とレイの色は似ている。ずっと付けておくならそれこそ他の男も牽制できていいじゃないか。

浮かれている自覚はある。


「私とシオンは色が似てるからお揃いみたいだねえ」

と微笑むレイ。


可愛い!可愛すぎる!

どうして俺はこんな可愛いレイが殿下に見えていたのだろうか。




「坊ちゃん、綺麗な嫁さん見つかって良かったですねえ」

と生ぬるい視線の宝石商のおっさん。

坊ちゃんはやめて欲しいが、綺麗な嫁に関してはその通りすぎるので否定はしない。



シオンはローレライの手のひらの上でゴロンゴロンと転がされています。

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