36.閑話(ある騎士の独り言)
モブ(予定)視点
騎士団に所属している俺の上司であり、仲間でもある総隊長・次期団長であるシオン隊長。
隊長は、御年27にして仕事に生きる男である。
まず容姿、男の俺から見てもカッコイイ。金髪といっても王族の方々よりは濃いめの金色(はちみつ色というのだろうか)に海のように綺麗な青い目をしており、顔の造作も整っている。何だあれずるいよ!
身長も高く、鍛えられた体躯は男でも抱かれたい!と思わせるような魅力がある。
さらに、騎士としての実力もありめちゃくちゃ強い。
そして家柄も頗る良い!
代々騎士団長を務める、王家の剣で信頼も厚い侯爵家。
しかも嫡男。
天は二物を与えずとはよく言うよ。二物も三物も与えられた人間がいるというのに!
これで性格が悪いとかならまだわかる。なのに、性格も良いときた。
これだけいい条件が揃った隊長は恐ろしくモテる。
それはもう若い時から現在までモテ続けている。
それはそうだ、令嬢たちにとって超優良物件だ。
今の隊長の年齢だとデビュタントを迎えた若い子から、適齢期を過ぎてしまった令嬢や未亡人まで当てはまってしまうため実は釣書が届いてやまないのだという。騎士団長が言っていた。
なのにだ!本人は結婚する気が無いとはこれ如何に!
でも隊長の言い分もわかる。
俺達みたいな仕事をしてると、女性同士の諍いの仲裁に入ることもザラだ。
その時の令嬢達の醜さったら無い。
普段可愛らしく、綺麗に着飾り、微笑んでいる姿は夢幻かと思うほど別人になるのだ。もはや怖い。
何故か凄い上から目線で命令してくる令嬢もいる。
そんな女性を見ていると嫌になるのもわかる。
しかも隊長はガンガン言い寄られているので余計に嫌なんだろうな。
そんな隊長を、羨ましいと言った団員がいた。
そいつに、「ギラギラと狩人の目をして他の令嬢と牽制し合いながら身体を押し付けてくるような令嬢をお前は好きになれるのか?獅子に囲まれた兎をお前は羨ましいのか?」
と言っているのを聞いた。
得て妙である。
見た目と、家柄だけで女性が寄ってくる環境に疲れたのだと。
優良物件も自分が思ってる以上に大変なのだなと思った。
女性には辟易している隊長だが、王太子殿下には割と優しかったりする。
まあ殿下に甘いのは全員なのだが。何せ殿下は神々しい。隊長は美丈夫、殿下は美人といえばわかるだろうか。
殿下は素直で可愛いところもあり、殿下が王になった時には支えて見せると思わせてくれる御人だ。
そんな殿下を最近は特にジッと見ていたり、目で追っていたり、誰かと組手をしようとすると自分が買って出ていたりする。
もしや隊長、そっちの気が?
と思った団員は俺だけではないだろう。
ところがだ!
夜会に出なくなって久しい隊長が、夜会に出席するため休むのだと!
隊長が夜会!しかも令嬢をエスコートするのだとか!!
何があった?!
と団員全員が思いながら警備に就いた建国祭の夜会。
騎士の階級は
騎士団団長→副団長→総隊長→副隊長となります。




