34.ご挨拶
建国祭2日目の今日、私は何をしているかというと
シオンと一緒に指輪を選んでいる。
あの婚約が決まった後、この成り行きで決まってしまった婚約で良かったのかと問いかけた。
すると、シオンは逆に自分でいいのかと問うてきた。
シオンはかなり年上だけど前世の記憶がある私にとっては全然年上な感じもしないし、カッコイイし、強いし騎士団で一緒に訓練もしてたから人となりも知ってるし、家柄もいいし、言うことなくない?
って感じだ。
けど騙しているようで嫌だから、ちゃんと伝えることも伝えた。
するとシオンは
「子供はできなくてもいい。正直両親も俺の結婚すら諦めてたぐらいだ。だから両親も責めることもしないよ。
それに、そんな君を俺は甘やかしたいと思う。
今までしたくてもできなかったこともあるだろう?もっと甘えたり遊んだりしたかっただろう?ドレスだってたくさん贈りたい」
力いっぱい抱きしめられ、まさかの返事をくれた。
そんなに自分の人生に不満は無かった。
楽しくやってきたと思ってる。
普通の令嬢の生活をしたことは無いからわからない。
けれどここに甘やかしてくれる人がいる。
そんなこと言われたことも思ったことも無い私だけどそれはすごくすごく嬉しいことだと感じた。
こんなお転婆すぎる私でもいいと言ってくれる優しい婚約者が出来た。
次の日、シオンから連絡がありシュバリエ侯爵家へ来て欲しいとのことで侯爵家へとやってきた。
突如、未来の義母と会うことになったのである。
そして案内され向かうと、侯爵であるフォードと奥様、シオンと並んで迎えてくれた。
「まああああ!!!ほんとうに可愛いのね!こんな可愛い義娘ができるなんて!!!シオンはもう独身を貫くのかと思っていたけど、こんなに可愛いお嫁さんを連れてくるなんてもう何て親孝行なのかしら!!」
と一切息継ぎなしに告げられた。
「母上・・・」
とシオンは呆れ、フォードは苦笑いだ。
「お初にお目にかかります。ガオナー伯爵家が長女ローレライと申します」
「まあ声も可愛い!あらいけない!わたくしはマーガレットと申しますわ」
「マーガレット嬉しいのはわかったが、レイ様を座らせてあげないと」
「そうね!ごめんなさいね」
シオンのエスコートで二人掛けのソファーに座る。
「レイ様、シオンと婚約していただきありがとうございます」
といつもの口調でフォードが話しかけてくる。
「様はやめていただきたいわ。私もお義父様とお呼びしますから」
「シオン聞いたか!お義父様だって!!レイ様、その・・・レイとお呼びしても?」
「もちろん。その丁寧な口調もおかしいからやめてもらえませんか?」
「では、レイ。レイもその丁寧な口調を辞めて普段通り喋ってほしい」
「いいの?」
「もちろん」
とフォードと話していると
「私だってお義母様と呼ばれたいわ!それに私もレイちゃんと呼んでもよろしくて?」
「はい。もちろんですお義母様」
と答えていると
「俺もレイと呼んでも?」
とシオンからも聞かれる。
「もちろん」
「あら?あらあら?今のはシオン、私達に嫉妬したわね?」
とお義母様がシオンを揶揄っている。
「母上、もう黙ってくれないか」
とシオンが疲れたように呟く。
そして今日呼ばれた理由は、婚約指輪を選ぶということだった。
シュバリエ侯爵家は鉱物を扱う商売をしている。
そこでお抱えの宝石商から指輪を買おうとのことで、指輪を選ぶ。
「レイ、どれがいい?」
見渡してみる。
「うーん。台はゴールドでしょう?それから石はサファイアを出してちょうだい」
と声を掛けていると、隣でシオンがまた顔を覆っていた。
息子のお嫁さんが可愛くて大喜びする母。
ちなみにシオンの母ももちろんガオナー伯爵家の事情は知っています。




