31.未知との遭遇
私の本日の武器は、髪飾り(簪)と扇子(ナイフ仕込み)と靴(ヒールが鉄)だ。
私がうっかり足を踏んでしまわないうちに退却願いたい。
やつが手を離した隙に、シオンの腕をしっかり抱きこむ。
すると小さく舌打ちした。
「ローレライ嬢、婚約者はまだいないのだろう?」
いないけど!お前は嫌だ!
「彼女は私の婚約者となる予定です」
とシオンが答える。ナイスだ!シオン!
「発表はまだですが、内々に決まっておりますの」
と粛々と答える。
「発表はまだか・・・」
と何かを考えながら呟き出した。
「まあ今日のところは引こう。またなローレライ嬢」
と去って行った。または無くていい!
「シオン、ありがとう。助かったわ」
「勝手にすまん。だがあれは諦めてない感じだったな」
「だねえ。何かしでかしそうだね。父様に報告しておかないと」
「だな」
「うまく釣れたみたい」
「は?」
意味のわからなそうなシオンに、ふふふと微笑んでおく。
◇◇◇
ところ変わって、こちら王太子であるローライドは現在未知との遭遇を果たしていた。
「ローライド様!わたくしと婚約いたしませんこと?」
とルナールの王女に詰め寄られていたからだ。
何とルナールの王女はローライドに一目惚れしたようで、グイグイ押してくるのだ。
「私は国内から妃を娶る予定だ」
と言っても全く聞いていない。
「わたくし、一目惚れいたしまたわ。この美しいわたくしとローライド様はとてもお似合いだと思いますの」
とギラギラした宝飾品に真っ赤なドレスを身に付け、ごてごてと塗りたくったメイクにどう結い上げたかわからない高く盛られた髪。
どう見たら美しいのか!
レイ。助けて!
とローライドは心の中でローレライに助けを求めていた。
陛下が
「王女、ローライドには婚約者候補がもういる故な」
と言っても
「候補でございましょう?まだわたくしにもチャンスはありますわ。それにわたくしは王女ですもの!身分も最高ですわ」
と聞かない。
陛下と2人で頭を抱えている。
そこで見かねた王妃が
「ローライドには想い人がいるのよ。お相手も応えてくれてもうすぐ婚約が成立する予定なの」
と嘘八百ではあるが諦めろと言った。
「まあ!わたくしを差し置いて?」
「わたくし達は、ローライドには想う相手と一緒になってほしいの。その相手ともうすぐ結ばれるのだから王女のご期待には応えられないのよ?ごめんなさいね」
とはっきりきっぱり断りその話を無かったことにした。
敵対している国と仲良くする必要はないのだから。
「わたくしに諦めろですって?」
と誰にも聞こえないぐらい小声で呟いていた。




