30.か弱いご令嬢
父様が無理を言って、シオンにエスコートしてもらうことになって張り切っているのは母たちである。
ドレスをブルーで作るのだとそれはもう楽しそうにドレスを考えていた。
シオンは濃いめの金髪にサファイアのようなブルーの瞳をもつ美丈夫。
であるのにもにもかかわらず27歳現在婚約者も恋人もいないのである。
ちなみにシオンはモテる。
女っけの無い息子にフォードは悩んでいるというのをフォードから聞いたことがある。
そして当日、母様たちが選んだドレスを身に付ける。
綺麗なブルーのプリンセスラインのドレスだ。色が落ち着いているためラインは可愛くしたらしい。
けれど、可愛くなりすぎないようにフリルなどは一切なくオーガンジーの軽やかな素材で魅せるドレスだ。
肩は小さな袖が付いており、胸元はハートネックで少し胸が開く仕様だ。
こんなに胸が開くのは少し恥ずかしいのだが、仕立て屋と母たちが張り切ってしまったので仕方ない。
ちなみに傷の多い体はメリッサが特殊メイクのように隠してくれるので、肌の出たドレスも着ることができる。
ただ、剣だこができてしまっている令嬢とは程遠い手は手袋を履くことで誤魔化している。
今日も麗しい令嬢が仕上がったところでシオンが迎えに来た。
シオンはネイビーにゴールドの刺繍が入ったタキシードを着ており、私のドレスに合うようにしてきてくれたようだ。
シオンにエスコートされ会場入りすると、やはり今回も会場中の興味を引いてしまったようだ。
まあ、私がまだ物珍しいっていうのもあるがシオンが女性を伴っているというのも興味を引く要因になっている。
シオンはご令嬢たちにとって優良物件だ。
そのシオンが未婚の令嬢をエスコートしている意味は・・・となっていることだろう。
そんな視線の中ファーストダンスを踊る。
シオンのリードは踊りやすかった。さすが侯爵家嫡男である。
ダンスを踊った後は、他国から要人たちも来ているので交流のチャンスである。
といっても私は特に父から何も言われてないので余計なことはしないでおく。
シオンが挨拶しなければいけない所には挨拶に行くといったところだろうか。
と思っていると、煌びやかなというかキランキランな青年が歩いてくるのが見える。
「初めまして。美しいご令嬢」
私に話しかけてきた。
普通はエスコートしている男性側に声を掛けるものだ。
「ごきげんよう」
と一応は挨拶する。
「私は、ルナール国のマンソーンジュ公爵家嫡男パヴレと申します。美しいご令嬢、お名前を伺っても?」
「ローレライ=ガオナーと申しますわ」
「ガオナー嬢、私と一曲踊っていただけませんか?」
嫌だ。なんか視線が気持ち悪い。
シオンを見上げる。
「シオン=シュバリエと申します。彼女は私のパートナーです。彼女は身体が弱く、たくさん踊ることができませんので」
とシオンが断ってくれる。
しかし、私の腕を急に掴んで
「いいではありませんか!一曲ぐらい問題ないでしょう」
「彼女の父上から頼まれておりますし、その手をお離しください!」
「いたい・・・」
と弱々しく少し目をうるうるさせて言ってみる。
マジでこいつ令嬢の手を握る力間違えてるわ。
すると
「申し訳ございません!どうしてもご令嬢と踊りたかったものですから」
と手を離した。




