32.釣れた
夜会を早々に切り上げ、うちの応接間へ戻る。
シオンも一緒に皆が集まるのを待ってもらう。
作戦会議が必要だからだ。
応接間へ戻ると、待っていたのは可愛い弟たちだ。
「「姉さま、おかえり!」」
「ただいま」
「姉さま、綺麗!!」
ルイは今日も可愛いので頭を撫でてやる。
「姉さまの武器は今日は使わなかったの?」
物騒なルカは通常運転である。
「今日はシオンが守ってくれたからね」
と答えるとなぜかシオンが恥ずかしそうにしている。
「シオン、姉さまを守ってくれてありがとう」
「姉さま大人しくできてた?」
と弟たちから質問攻めにされるシオンを微笑ましく見守っていると夜会がお開きになったらしく、皆が帰ってきた。
「さて、どうだった?」
と父様が問う。
「うまく釣れたよ」
と答える。
シオンは不思議そうだ。
一応今日来ているメンバーを調べて何かしでかしそうなやつらを釣れたら釣る予定だった。
何もしなくてもあっさり釣れたのだが。
「よくやった!それでライの方は?」
「こっちもたぶんうまくいったよ」
と大分疲れた様子のライが答えた。
「あの王女は何なのか・・・」
と陛下ですら疲れている。
「あれは、周りが甘やかすだけ甘やかして苦言を呈さなかったのでしょうね」
母上が遠い目をしている。
「なら、作戦は一つ。明日の夜会はライもレイも欠席することにしよう。2人とも体調不良でね」
「3日目は私がライ、ライが私ってことね」
「そう」
「まあ貞操の危機だし、当然だよね」
うんうん頷いていると、ライとシオンが驚いている。
「待って!!レイ!襲われるの?」
「たぶんね」
「たぶんねって何!?」
「あの舐め回すような嫌な視線はたぶん・・・あ!!父様!!シオンと婚約する」
「ブッ!!」
と吹き出すシオン。
「シオン殿、一体どういう事かな?」
と良い笑顔の父様。
「あー。ルナールの公爵令息が嫌な視線でローレライ嬢な眺めつつローレライ嬢にだけ話しかけ、ローレライ嬢を勝手にダンスに誘い、私が断ると無理やり腕を掴みダンスを踊らせようと令嬢に対する力とは思えぬ力で引っ張り、婚約者の座を狙っていたのでつい婚約者になる予定だと言ってしまいました」
と掻い摘んだ話をした。
「うちの可愛いレイの腕を無理やり掴んだだって?婚約者にさせようとしただって?」
と笑いながら怒る父は怖い。
「はあ。それで、シオン殿はいいの?」
「その、あの・・・ローレライ嬢がいいのなら」
「シオンー!そこは、ローレライがいい!でしょう?」
とライ。
「私はいいよ。シオンが」
とにっこり笑う。
シオンは顔を覆ってしまった。
「ってことでよろしくお願いしますね陛下!」
と軽い父様に
「任せておけ!」
と軽い陛下によって、その日の間に私とシオンの婚約が決まったのだった。
ちなみに母たちはキャッキャウフフと喜んでいた。
弟たちも
「姉さまをよろしくね。守らないと許さないよ」
「姉さまで本当にいいの?お転婆だよ?」
とシオンに声を掛けていた。
◇◇◇
その裏でどこぞの王女とどこぞの令息によって作戦会議が行われていた。
「絶対わたくしと結婚していただきますわ」
「絶対私のものにしてみせる」
と声高らかに笑う声が部屋に響くのだった。
あっさり婚約しました!




