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第30話:新大陸の最果て「神の食卓」。そこに住む「退屈した創世神」に、主夫の家庭料理を振る舞う!?

大露天風呂でのどんちゃん騒ぎから一夜明け、浮遊島「ハウス・オブ・タナカ」は、新大陸の最果てに浮かぶ天空の島――**『神の食卓ゴッズ・テーブル』**へと到達した。

そこは、不自然なほど平坦な白い大理石の台地。その中心には、巨大なフォークとナイフを杖のように携えた、ボサボサ頭の青年が退屈そうに座っていた。

「……あーあ、腹減った。1000年も寝てると、この世界の味は全部食べ尽くしちゃったんだよね。……ん? なんだ、あの美味そうな匂いを撒き散らしている浮き島は?」

創世神の「傲慢なオーダー」

浮遊島が接舷するなり、青年――創世神ゼニスが、音もなく直人たちの前に現れた。

「よう。僕はこの大陸を作った神様だ。君たち、いい匂いがするね。……よし、僕が満足する料理を出せたら、この大陸の半分をあげよう。でも、もし僕の舌を満足させられなかったら……この島ごと、僕の『おやつ』になってもらうよ」

「……随分と物騒な神様ね。直人、どうする?」

ユカリがいつでもハリセン(神殺し仕様)を出せる構えをとる。

「……やりくり、ですね。直人様、この神の味覚データは未知数ですが、精神状態は『深刻なマンネリ』に陥っています」

ナビルが即座にゼニスの瞳をスキャンし、最適解を導き出す。

直人はエプロンの紐をキッと締め直した。

「いいだろう。神様だろうが何だろうが、腹を空かした客を帰すわけにはいかない。……ただし、俺が作るのは高級な神界料理じゃない。**『田中家の家庭料理』**だ」

主夫のさばき:ありふれた奇跡の献立

直人が用意したのは、新大陸の「自動オーブン岩」で焼き上げたパンと、クラーケンの出汁をベースにした「特製・具だくさん味噌汁」、そして「美食の谷」の新鮮な野菜を使った「肉じゃが(マンモス肉仕様)」だった。

「なんだい、この茶色い料理は。もっとこう、虹色に光るとかさ……」

「つべこべ言わずに食え。……ナビル、塩分濃度を神の血圧に最適化しろ。ユカリ、仕上げに『家族の温もり』の魔力をひと回しだ」

『了解。スキル【さばく者】で素材の雑味を消去。スキル【満たす者】により、一口ごとに「実家に帰りたくなるような郷愁」を充填します』

ゼニスが半信半疑で、肉じゃがを口に運んだ。

「……!? な、なんだこれ……。ただの芋なのに、噛んだ瞬間に『生きててよかった』って感情が溢れてくる……。それにこの汁物……複雑な旨味が、冷え切った神のコアをじわじわと温めていく……!」

神の涙と「おかわり」

創世神ゼニスは、無言で料理を貪り始めた。

一国の領土を喰らうよりも、彼にとっては直人の作る「ホッとする味」の方が、何万倍も価値があったのだ。

「……ううっ、美味い。美味いよ……。僕が作りたかった世界は、こんなに温かい味がする場所だったんだな……」

気づけば、創世神の目から大粒の涙が溢れていた。

「お代わりだ! この茶色いお肉、もう一皿! あと、その『お漬物』っていうポリポリするやつも!」

「はは、慌てるな。まだ山ほどある。……セバス、炊きたてのご飯を持ってきてくれ。ナビル、神様の胃袋を拡張して、もっと食べられるように調整だ!」

『報告。創世神ゼニス、田中家の「胃袋」に完全帰依。……直人様、大陸の半分をもらうより、この神を「常連客(居候)」としてやりくりした方が、今後の安全保障上、有利と判断します』

居候神の誕生

食後、お腹をさすりながら大の字に寝転ぶ創世神。

「……決めた。僕、神様やめて、この島に住む。君の料理、毎日食べたいもん」

「ええっ!? 神様が居候なんて、絶対トラブルの元よ!」

ユカリが抗議するが、ゼニスは聞く耳を持たない。

「いいじゃないか、ユカリ。神様がいれば、新大陸の天候も『やりくり』し放題だ。……おい、ナビル。こいつの神力、屋敷の『全自動洗濯乾燥機』の動力源に回せるか?」

「可能です。……直人様、これで天候に関わらず、ユカリ様の洗濯物が5秒で乾くようになります」

「……それなら、まあ、いいわよ。……その代わり、食べた後の食器は自分で下げるのよ、ゼニス!」

こうして、田中家にはまた一人、とんでもない「居候」が増えた。

新大陸の最果てで、主夫・直人は神様さえもエプロン一つでやりくりしてしまったのだ。

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