第31話:新大陸の「空飛ぶクジラ」。その背中にあるのは、失われた「超古代のショッピングモール」だった!?
創世神ゼニスを「全自動洗濯乾燥機の動力源」として居候させた田中家。
次なる目的地は、雲海のさらに上、高度1万メートルを回遊する伝説の超巨大生命体――**『天鯨』**だ。
『ナビルより報告。天鯨の背中にある「隆起物」のエネルギーサインを照合……。驚くべきことに、これは10万年前の超古代文明が遺した「全銀河最大級の複合商業施設」です』
「ショッピングモール!? 直人、それって……お買い物し放題ってこと!?」
ユカリの瞳が、宝石よりも眩しく輝き始める。主婦(女神)にとって、新大陸の冒険よりも魅力的なキーワードがそこにはあった。
空の上の「巨大モール」へ上陸
天鯨の背中に浮遊島を接舷させると、そこには動く歩道や、ホログラムの看板が点滅する異様な光景が広がっていた。10万年もの間、天鯨の体温をエネルギー源として稼働し続けていたのだ。
「いらっしゃいませ。お客様、本日は『超古代ポイントカード』をお持ちでしょうか?」
出迎えたのは、錆び一つないピカピカの接客ロボットたち。
「……ポイントカードはないが、主夫の勘なら持ってる。ナビル、このモールの『特売品』をスキャンしてくれ」
「了解。……直人様、左前方300メートルに『永遠に切れない包丁の砥石』、右側地下1階に『自動で味付けを均一にする魔法の調味ポット』の在庫を確認。……お姉様、衣料品コーナーには『着るだけで魔力が1.5倍になる最新の湯浴み着』もあります」
「行くわよ、ナビルちゃん! 女の戦場よ!」
二人の妻が、爆速でモールの中へと消えていく。
主夫の「さばき」:モールの在庫やりくり
直人が一人、調理器具コーナーで「超伝導フライパン」を吟味していると、突然アラームが鳴り響いた。
『警告。賞味期限が10万年を越えた「超熟成・乾燥肉」が、あまりの旨味成分の凝縮により自我を持ち、暴走を開始しました。保安ロボットでは対処不能です』
通路の奥から、岩のように硬くなった巨大な肉の塊――**『ドライエイジ・キマイラ』**が、咆哮を上げながら突進してくる。
「……10万年熟成か。やりくりしがいがあるじゃないか」
直人は『神のナイフ』を抜いた。
「――スキル【さばく者】。……『表面の酸化層を一ミリ単位でトリミング』」
――シュパパパパパンッ!!
直人のナイフが閃くたびに、キマイラの硬い「鎧」が削ぎ落とされ、内側から琥珀色に輝く究極の熟成肉が姿を現す。
「仕上げだ。――スキル【満たす者】。……『新大陸特産・赤ワインの芳香』を充填」
『解析完了。ドライエイジ・キマイラは「最高級の生ハム」へと再構築されました。……直人様、これは今夜のワインのつまみに最適です』
居候神の使い道
その頃、モール内のゲームコーナーで遊んでいた創世神ゼニスが、両手に抱えきれないほどの景品(古代の超高性能おもちゃ)を持って戻ってきた。
「直人! このモール、神界より楽しいよ! この『無限に泡が出る洗剤』も買っておいたから、洗濯に使っていいよ!」
「……おい、ゼニス。お前、神力を使ってガチャを回したな? まあいい、その洗剤はナビルに預けろ」
結局、ユカリは大量の最新ファッションを、ナビルは最新の演算パーツを、そして直人は究極の調理器具と生ハムを手に入れ、一行は大満足で浮遊島へと戻った。
「ふふ、直人。今夜はさっそく、この『勝負服』を着て、露天風呂で待ってるわね?」
「お姉様、抜け駆けは禁止です。私も『最新のマッサージ・アルゴリズム』をインストールしましたから、直人様を徹底的にやりくりします」
新大陸のショッピングは、戦利品(と夜の火種)を大量に生み出したようだ。




