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第28話:美食の谷の守護獣「スパイシー・スフィンクス」。出される謎解きが「隠し味は何?」という主夫への挑戦状だった!?

「美食の谷」の奥深く、最高の『自動オーブン岩』を求めて進む田中家一行の前に、巨大な黄金の鎮座体が現れた。

エジプトのスフィンクスを彷彿とさせるが、その体からは鼻を突くような芳醇なスパイスの香りが漂っている。

『ナビルより警告。このエリアの番人、古代守護獣【スパイシー・スフィンクス】を確認。……解析中。この魔獣、戦闘力よりも「食への執着」が極めて高い特異個体です』

「クックック……。我が領域、美食の谷へようこそ。通りたければ、我が出す『究極の謎』を解いてみせよ」

スフィンクスが厳かに口を開く。その足元には、数々の冒険者が答えられずに「味覚を失う呪い」をかけられた残骸(ひしゃげた鍋など)が転がっていた。

スフィンクスの「謎解き」

「いいだろう。主夫として、食に関する謎なら逃げるわけにはいかない」

直人が一歩前に出ると、スフィンクスは不敵な笑みを浮かべ、魔法の鍋で煮込まれた「一口のスープ」を差し出した。

「では問題だ。このスープは完璧なバランスで仕上げられている。だが、我は最後に**『ある隠し味』**を一滴だけ加えた。それが何か、言い当ててみせよ」

「隠し味……?」

ユカリが横から一口味見をする。

「……美味しい! お肉の旨味と野菜の甘みが完璧に調和してるわ。でも……なんだか、最後にふわっと懐かしい、それでいて身体の芯が熱くなるような……」

「……計算中。成分分析……主要スパイス32種を検知。ですが、そのどれもが『隠し味』の定義には当てはまりません」

ナビルが瞳を青く光らせて解析するが、データ上にもその正体は現れない。

「さあ、どうした主夫よ。答えられねば、貴様らの味覚をすべて没収し、今後一生『砂を噛むような食事』しかできぬ体にしてくれよう!」

主夫の「さばき」:味覚の真実

直人は目を閉じ、スープの「魂」を感じ取った。

『さばく者』のスキルで、味の層を一枚ずつ丁寧に剥がしていく。肉、野菜、塩、水、火加減……。そして、一番奥底に眠る「異質な振動」を見つけた。

「……なるほど。いいセンスだな、スフィンクス」

直人はニヤリと笑い、答えを口にした。

「隠し味は――『昨日の夜の、食べ残しの骨から取った二番出汁』。違うか?」

「なっ……何故それを!?」

スフィンクスが驚愕で飛び上がった。

「味のバランスを整えるだけなら、新鮮な素材で十分だ。だが、このスープには『時間の厚み』がある。新しく作っただけでは出せない、少しだけ酸化した脂のコクが、逆に全体の旨味を引き立てているんだ。主夫なら誰でも知ってる……『残し物』のやりくり術さ」

主夫への挑戦状、再び

「おのれ……。ならばこれはどうだ! このオーブン岩で焼いた究極のステーキ、これに足りない『最後の手間』は何だ!?」

スフィンクスが次々と料理の難問を突きつけてくる。しかし、今の直人には「最強のパートナー」が二人ついている。

「ナビル、肉の内部温度を可視化しろ!」

「了解。中心温度、あと2度で『やりくり』の頂点に達します」

「ユカリ、肉を休ませるための『聖なる保温』を頼む!」

「任せて! 肉汁を一滴も逃がさないわ!」

直人は『神のナイフ』の背で、肉の繊維を優しく叩き、ストレスを解き放つ。

「答えは**『肉を休ませる勇気』**だ!」

「……完敗だ。我の知恵を、ただの『家事の知恵』が上回るとは……」

スフィンクスはガックリと項垂れ、その証として、谷で最も古い、最高品質の『キング・オブ・オーブン岩』を差し出した。

守護獣の転職

「なあ、スフィンクス。お前、味の感性はいい。どうだ、この谷で一人で謎解きしてるより、うちの浮遊島の『バーベキュー場』の管理責任者にならないか?」

「な、なに? 我をスカウトするというのか……?」

「ああ。ナビルがレシピを計算し、お前が火加減を監視する。最強の布陣だ」

『ナビルより報告。スパイシー・スフィンクス、田中家・屋外調理担当として雇用契約が成立。……直人様、これで次回のホームパーティーの効率がさらに20%向上します』

「やったわね直人! 友達が増えて嬉しいわ!」

ユカリが笑い、新しい仲間(?)を連れて浮遊島へと戻っていく。

新大陸の「美食の谷」を制した田中家。だが、彼らが手に入れたのはオーブン岩だけではなかった。

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