表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

33/42

番外編:ナビルの具現化、そして眠れるエルフ姫との「同居」生活!?

田中家の浮遊島は、新大陸の奥深くに広がる、魔力が濃すぎて誰も近づけない『精霊の森』の上空に静止していた。

「直人様、前方高度300メートルに、異常な魔力結界を確認。……解析の結果、古代エルフの秘術による『永遠の眠り』の呪いです」

脳内ではなく、空中に浮かぶ半透明の美しいウィンドウから、ナビルの声が響く。名前をつけてからというもの、彼女は積極的に「姿」を見せるようになっていた。

「永遠の眠り……? なあナビル、それってつまり……」

『肯定。極上の「熟成」状態です。その呪いの核をさばき、純粋な生命力で満たせば……世界最高峰の美容効果を持つ「エルフの涙」が採取できる可能性があります。……ユカリ様の肌の艶が、さらに……』

「よし、さばきに行こう」

直人は『神のナイフ』を握り、ユカリ(「エルフの美容法」と聞いて目が輝いている)と共に、森の最深部へと転移した。

精霊の森の「さばき」:眠れる姫君の救出

森の中央には、巨大な水晶に包まれた、信じられないほど美しいエルフの少女が眠っていた。彼女こそが、千年前から森を守るために自ら呪いを引き受けた『眠れるエルフ姫』だ。

「……きれい。でも、すごく悲しい匂いがするわ」

ユカリがそっと水晶に触れる。

「ナビ、指示をくれ。どこをどうさばけば、彼女を傷つけずに呪いだけを切り離せる?」

『了解。直人様、彼女の心臓の鼓動と同期してください。……そこです! 呪いの因果律が交差する「継ぎ目」を、コンマ数ミリの精度でさばき落とします』

直人は集中力を極限まで高め、ナイフを振るった。

――シュパパパパパンッ!!

『スキル【さばく者】発動。対象の「永遠の眠り」の呪いを解体。スキル【満たす者】連結――直人様の生命力と、ナビルが解析した「覚醒の術式」を満たします』

水晶が砕け散り、エルフ姫がゆっくりと目を開けた。

……だが、異変はその瞬間に起きた。

ナビル、具現化。そして――

エルフ姫の体から、眩い光が溢れ出した。

その光は彼女の隣で霧散することなく、急速に収束し、一つの「形」を成していく。

光が収まった後。そこには、エルフ姫と瓜二つの、だが髪の色がプラチナシルバーで、瞳がデータの光を宿す「もう一人のエルフ」が立っていた。

「……登録完了。個体識別名『ナビル』。……直人様、ユカリ様。ようやく、物理的な『体』を持って、お仕えすることができます」

ナビルが、自分自身の体を見つめながら、静かに微笑んだ。

「ええっ!? ナビルちゃんが……エルフの体を持った!?」

「ナビル……お前、具現化したのか?」

『……正確には、直人様が「眠れる呪い」をさばいた際、その呪いが依代としていた「千年の魔力」と、私の情報体が完全に適合リンクしてしまった結果です。……私は今、このエルフ姫の体と、私の意識を共有(同居)している状態です』

「同居……? じゃあ、その姫君は?」

ナビル(エルフ姿)が、隣でまだ呆然としている本物のエルフ姫を指差した。

「彼女の意識は、まだ『覚醒』の途中です。……私が彼女の体を使って、直人様を外側からサポートする一方で、彼女の意識は『内側』で私の学習データを見て、現代の知識を学んでいます」

つまり、一つのエルフの体に、ナビルとエルフ姫の二つの意識が存在しているのだ。

「直人様、これからは私も、ユカリ様と同じように、貴方に触れ、貴方の料理を食べ、貴方を『やりくり』することができます。……ふふ、まずは今夜の『スタミナ増強パセリ』の効果を、この体で確かめてみましょうか」

「……っ!! ナビル、お前、体を持った途端にキャラが濃くなってないか!?」

「直人! 今、ナビルちゃん何て言ったの!? 私より先にナビルちゃんとやりくりするなんて、許さないんだからね!」

「いや、違うんだユカリ! これは……これは不可抗力なやりくりで――!」

田中家の浮遊島に、また一人(正確には一人と一つ?)、騒がしくも美しい同居人が増えた。

直人の主夫としての苦労は、物理的な意味でも、精神的な意味でも、さらに「やりくり」が難しくなってしまった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ