第22話:新大陸の古代遺跡を発見! 伝説の宝箱は、最高の「ブレッドケース」だった?
破壊神デス・アビス(現在、庭の掃き掃除担当)が絶望の溜息をつきながらゴミを虚無へ送っている横で、直人は新大陸のジャングルを切り開いていた。
「直人、見て! あそこに大きな石の門があるわ!」
ユカリが指差したのは、蔦に覆われた巨大な古代遺跡の入り口だった。
「ナビゲーター、あれは?」
『解析。超古代文明の遺構【時空の保管庫】です。内部にはエントロピーを固定し、中に入れたものの時間を止める伝説の秘宝が眠っていると推測されます』
「時間を止める……? それって、つまり……」
直人の目が、主夫としての輝きを帯びた。
遺跡探索(お片付け)
遺跡の内部には、侵入者を拒む無数のトラップや、自動防御ゴーレムが配備されていた。しかし、田中家御一行の前では、それはただの「障害物」ですらない。
「ちょっと、この道……ホコリっぽいわね! 聖なる風!」
ユカリが軽く息を吹きかけるだけで、数万年の塵と共に、矢の罠や落とし穴が物理的に吹き飛んで更地になった。
「あ、ユカリ、そこにあるゴーレム。壊さないでくれ、関節の魔力サーボが『全自動マッサージ機』に使えそうだから」
直人は『神のナイフ』でゴーレムを「さばき」、必要なパーツだけを瞬時に回収していく。
最深部。そこには、禍々しくも美しい、ミスリルとオリハルコンで装飾された【伝説の宝箱】が鎮座していた。
「……ついに見つけたぞ。これが伝説の秘宝か」
伝説の宝箱の「やりくり」
宝箱には、開けた者の魂を喰らうという強力な呪いがかけられていた。だが、直人は迷わず手をかける。
『スキル【さばく者】発動。宝箱に付与された「即死の呪い」を解体し、「防虫・防カビ効果」へと再定義します』
カチリ、と軽快な音がして、宝箱が開いた。中には眩い光を放つ空間が広がっている。
「……やっぱりだ。ナビゲーター、この中の時間経過はどうなってる?」
『報告。内部は完全に時間が停止しています。熱エネルギーの移動もゼロ。……直人様、これは物理学を無視した「究極の保存容器」です』
「よし、決まったな。ユカリ、これからはこれに**『焼き立てのパン』**を入れよう」
「パン!? 財宝とかじゃなくて?」
「ああ。これなら、朝焼いたサクサクのクロワッサンが、一ヶ月経っても『焼きたて』のままだ。まさに、最高のブレッドケースじゃないか!」
田中家のティータイム
屋敷に戻った直人は、さっそく遺跡で見つけた「宝箱」をキッチンの一等地に据え置いた。
「セバス、今日焼いたカンパーニュをこれに入れておいてくれ。明日も同じ香りで食べられるはずだ」
「畏まりました。伝説の秘宝をパン入れにするとは、流石は旦那様。……デス・アビス殿、何を呆然としているのです。その触手で、遺跡から持ち帰った『永遠に冷めない魔石』をティーポットのウォーマーに加工してください」
「……我が……神話級の遺物を……パン入れとポット置きに……」
破壊神は、あまりの価値観の崩壊に、触手を力なく垂らした。
ユカリは焼きたてのパンを頬張りながら、幸せそうに笑う。
「直人、この新大陸って、本当に便利なもの(お宝)がたくさんあるわね!」
「そうだな。次は何を見つけに行く? 飲み物をキンキンに冷やす『氷の精霊の棺』あたり、冷蔵庫代わりに欲しいところだな」
『報告。新大陸に眠る古代遺産が、次々と「便利な家電」としてリストアップされています。……全文明の遺産が田中家に収穫されるまで、残り87%です』
新大陸の冒険は、いつの間にか「最高級の家具・家電探し」へと変わっていた。




