第21話:封印された破壊神が復活!? 復活した瞬間に「朝のゴミ出し」を命じられる悲劇
新大陸の主・タートルを胃袋で屈服させ、広大な「動く庭」を手に入れた田中家。
だが、ユカリが上陸時に放った規格外の魔力が、大陸の地下深くに眠っていた「忌まわしき祭壇」を刺激してしまった。
地面がどす黒く変色し、禍々しい雷鳴が轟く。
「……あ、直人。あそこの岩山、なんだか変な色になってるわよ?」
「ん? ああ、ナビゲーター。あれは何だ?」
『警告。新大陸に封印されていた終焉の化身【破壊神デス・アビス】が、ユカリ様の魔力に反応して覚醒しました。推定される戦闘力は、この世界の既存の尺度では計測不可能です』
破壊神、降臨
「ガァァァァァハッハッハ!! ついに、ついに我が目覚める時が来た! この不浄なる世界を塵に還し、虚無へと――」
ドロドロとした影の中から、無数の目と触手を持つ、おぞましい姿の破壊神が這い出してきた。その存在自体が周囲の生命を腐らせるはずの絶望の化身。
……だが、そこは「田中家の庭」のど真ん中だった。
「ちょっと! あんた、そこどきなさいよ!」
復活の咆哮を上げようとした破壊神の頭に、ユカリの鋭い声が飛ぶ。
「え……? 娘よ、今なんと申した? 我は破壊神ぞ? 全てを滅ぼす――」
「滅ぼすとかどうでもいいの! 今、セバスたちがそこを掃除したばかりなのよ! そんなドロドロした液体を撒き散らして、掃除し直す身にもなってよ!」
ユカリの『女神の威圧』が、無意識に破壊神を押し潰す。
「グハッ!? な、なんだこの神圧は……!? 我より上位の……いや、次元が違う……!?」
破壊神の「やりくり」:朝のゴミ出し
そこに、エプロン姿の直人が、両手に大きな袋を持って歩み寄ってきた。
「おい、新入り。ちょうどいいところに起きてきたな。……ナビゲーター、こいつの『破壊の権能』を、分子レベルの『分解・焼却機能』としてさばけるか?」
『肯定。可能です。対象の「世界を滅ぼす力」を「物質の完全消滅処理」へと限定最適化します』
「な……何を勝手なことを! 我の力は、星を砕くための――」
「四の五の言うな。今日は新大陸の開拓で出た『粗大ゴミ(魔獣の骨や殻)』の収集日なんだ。お前のその影の力で、これ、きれいに消しておいてくれ」
直人は、山のようなゴミ袋を破壊神の触手に押し付けた。
「さあ、やれ。……やらないなら、ユカリが明日の朝食抜きにするって言ってるぞ」
「……っ!!(その娘に睨まれるのは、消滅するより恐ろしい……!)」
かつて世界を恐怖に陥れた破壊神は、プルプルと震えながら、その至高の魔力を使い、家庭ゴミを一点の塵も残さず「虚無」へと送り出した。
田中家の日常、新大陸編
「ふぅ。助かるよ、破壊神。お前がいると、ゴミの分別が楽でいいな」
「……我が、ゴミ処理係……。かつて神々を葬ったこの手が……」
「何言ってるんですか、デス様! ほら、次はこっちの排水溝の詰まりをその触手でさばいてくださいな!」
メイドたちが、すっかり「便利な掃除道具」扱いで破壊神をこき使い始める。
セバスも冷静に指示を出す。
「デス・アビス殿。ゴミ出しの後は、あちらの畑の石ころを『虚無』に返しておいていただけますか? 旦那様が新しい野菜を植えるそうですので」
「……うう、わかった。やる、やればいいのだろう……」
『報告。破壊神デス・アビス、田中家の「ゴミ処理・設備担当」として定着。……直人様、これで環境負荷ゼロの究極のエコ生活が実現しました』
新大陸に潜む強大な脅威も、田中家に入ればただの「便利な人材」に早変わり。
直人とユカリの冒険……という名の「大陸全土の家事管理」は、まだ始まったばかりだ。




