第20話:新大陸の主は「美味しいおやつ」で懐柔できるか? 巨大原生生物をさばいてディナーに!
「ハウス・オブ・タナカ」が雲を突き抜け、新大陸の広大な大地へと降下を始める。屋敷の中では、使用人たちがパニックに陥るかと思いきや……。
「……セバス。お前、よくその状況で紅茶を淹れられるな」
「直人様。主夫の鑑である旦那様が舵を取っておられるのです。我ら使用人が動揺しては、おもてなしの質が下がりますから」
セバスは、激しく揺れる(ユカリが加速させたせいだ)リビングでも、一滴も零さずに完璧なゴールデンルールで紅茶を注いでいた。
「そうですよ直人様! どこへ行こうと、私たちはユカリ様と直人様について行くだけですわ!」
「むしろ新大陸の珍しい食材で、どんな新しいメニューが生まれるのか楽しみです!」
メイドたちも、窓の外に広がる「絶望の大陸」の異形な原生生物たちを見て、恐怖するどころか、すでに「美味しそう」という目で品定めを始めている。
『報告。使用人一同の「適応能力」が限界を突破。田中家の家訓【どんな場所でも最高の生活をやりくりする】が魂に刻まれています』
上陸:新大陸の「主」との遭遇
屋敷が地響きを立てて、大陸中央の巨大な湖の畔に着陸した。
その瞬間、森の奥から地響きと共に、山のような巨体を持つ「新大陸の主」――**超古代龍亀**が姿を現した。
その一歩で大地が割れ、その咆哮で空が裂ける。
「グオォォォォォン!!(我が眠りを妨げる不届き者は誰だ!)」
「直人! あんなに大きいのがいたら、庭に洗濯物が干せないわ!」
ユカリが頬を膨らませ、戦闘態勢(ハリセン装備)に入る。
「待てユカリ。あれだけの巨体だ、きっと何千年も生きてる。……さぞかし、美味い出汁が出るか、あるいは最高の『オーブン』になるはずだ」
直人は『神のナイフ』を抜き、一歩前に出た。
「……あいつの甲羅、熱伝導率が良さそうだな。ナビゲーター、あいつの『敵意』だけをさばいて、代わりに『空腹感』を満たしてやれ」
主夫のさばき:巨大タートルの懐柔
直人が神速で踏み込み、ナイフの峰で巨大な足に触れた。
――シュパパパパパンッ!!
『スキル【さばく者】発動。対象の「縄張り意識」を解体。スキル【満たす者】連結――直人様特製の「万能だし」の香りを、対象の脳内に直接流し込みます』
「……グル? ……グルゥゥゥゥ(なんだこの、暴力的なまでに美味そうな匂いは!?)」
さっきまで世界を滅ぼさんばかりの威圧を放っていた主が、突然、子犬のように尻尾(のような尻尾)を振り始めた。
「よしよし。お前、腹が減ってるんだろ? セバス、メイドたち! 大鍋の準備だ。今日の上陸記念パーティーは、この新大陸の食材をさばき尽くすぞ!」
新大陸のディナータイム
直人は、周囲の森に自生していた「魔力の塊のような巨大キノコ」や「火を噴く果実」を次々と収穫し、神のナイフで最適な形にさばいていく。
「ユカリ、火力を頼む! 聖なる業火で一気に煮込むぞ!」
「任せて! 今日は新入りの亀さんの分も作るから、特大サイズね!」
メイドたちは手際よく、世界樹の葉を皿代わりに並べ、セバスは新大陸の湧き水を瞬時に浄化して、極上のスープのベースを作る。
一時間後。
巨大タートルの目の前には、彼の巨体に合わせた「特製・新大陸全部入り煮込み」が並んだ。
「さあ、食え。これが田中家の挨拶代わりだ」
主は一口食べると、そのあまりの旨味に、甲羅から光を放って悶絶した。
『報告。新大陸の主、完食。現在、彼は自身の甲羅を「田中家の移動用土台」として提供することを自ら申し出ています。……直人様、庭がさらに数キロ平方メートルほど拡張されました』
「あら、いいじゃない! これでグリちゃんたちも思いっきり走り回れるわね」
ユカリは満足げに、自分たちの分のご馳走を口に運ぶ。
新大陸の過酷な環境も、田中家の「やりくり」の前では、ただの贅沢なキャンプ場に過ぎなかった。
だが、この時。
新大陸の奥深くに眠っていた「古代の封印」が、ユカリの放った魔力の余波で、ひっそりと目覚めようとしていた……。




