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第14話:伝説の聖獣がペットになりたがっている件。庭がもはや動物園?

甘い夜が明け、俺は心地よい疲れと共に目を覚ました。隣では、昨夜の情熱が嘘のようにユカリが幸せそうな寝顔でスヤスヤと眠っている。

(……さて、主夫の朝は早い。まずは庭の様子でも見てくるか)

俺はそっとベッドを抜け出し、世界樹がそびえ立つ庭へと出た。だが、そこで俺を待っていたのは、静かな朝の風景ではなかった。

「……なぁ、ナビゲーター。あそこにいる、モフモフした塊は何だ?」

世界樹の根元。そこには、純白の毛並みと黄金の角を持つ、巨大な獅子のような生き物が鎮座していた。その背中には大きな翼があり、周囲には神々しい光の粉が舞っている。

『解析完了。伝説の聖獣【天輝のグリフォン】です。本来は神界の番人ですが……どうやら世界樹のジャムの香りと、直人様の「満たす」魔力に惹かれて降臨したようです』

「グルゥ……」

聖獣が俺に気づき、ゆっくりと立ち上がった。伝説の存在を前に、俺は無意識に『神のナイフ』の柄に手をかける。だが、聖獣は攻撃してくる気配を見せず、あろうことか俺の前でゴロンと仰向けになった。

「……え、これ、腹を撫でろってことか?」

『肯定。完全に服従のポーズです。さらに、門の外には【霊峰の白狼】や【虹色の多尾狐】など、総勢12体の希少獣が「ペットになりたい」と列を作っています』

「うそだろ!? ここは高級住宅街だぞ、動物園じゃないんだ!」

主夫のさばき(ブラッシング編)

「まぁ、放置して暴れられても困るしな……」

俺は『さばく者』のスキルを発動させた。だが、今回は「解体」ではない。

「――スキル【さばく者】、派生展開。――『毛並み整理グルーミング』」

――シュパパパパパンッ!!

俺のナイフが、聖獣の毛の間に絡まった古い魔力や汚れだけを、超高速で削ぎ落としていく。仕上げに『満たす者』で抽出した世界樹のエキスを毛先に馴染ませると、グリフォンの毛並みはダイヤモンドのような輝きを放ち始めた。

「グルゥゥゥゥ……(至福)」

聖獣はデレデレになり、俺の顔を大きな舌でベロベロと舐め回す。

「わっ、やめろ! 朝の洗顔はもう済ませたんだよ!」

ユカリの目覚めと「新入り」

「直人~、朝から騒がしい……って、なにこれ!?」

パジャマ姿のユカリが、目をこすりながら庭に飛び出してきた。彼女の目の前には、俺になつきすぎて、もはや巨大な猫と化した聖獣たちの姿。

「ユカリ、おはよう。……なんか、こいつら俺の庭の居心地がいいらしくてさ。ペットにしてくれって」

「えぇー! かわいいけど、デカすぎでしょ! でも……あの子、モフモフしてて気持ちよさそう……」

ユカリが恐る恐る聖獣の毛に触れると、そのあまりの感触の良さに、彼女の『女神の威圧』が完全に霧散した。

「決めたわ! この子たちは今日から田中家の番犬(?)よ!」

「番犬にしては豪華すぎるだろ……」

『報告。聖獣たちが庭に定住したことで、屋敷の防御力がカンストしました。さらに、彼らの抜け毛は「最高級の防具素材」として収集可能です。……直人様、これでまた新しい「やりくり」が捗りますね』

こうして、俺たちの屋敷は「世界樹がそびえ立ち、聖獣が駆け回る」という、神話の中の楽園のような状態になってしまった。

しかし、この光景を遠くから魔導望遠鏡で覗き見ている者たちがいた。

「バカな……伝説のグリフォンを、ただのペットのように手懐けているだと……? あの男、やはりタダ者ではない……」

名声(と誤解)が止まらない俺。

主夫としての平穏な生活は、どうやらまた遠のいてしまったらしい。

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