第12話:世界樹のジャムを国王に献上したら、若返りすぎて「第二王子」になっちゃった!?
「鉄の蛇」の私兵たちを『平和な庭師』へと更生(物理)させた翌日。
俺の手元には、ユカリと一緒に煮込んだ黄金色のジャムが瓶に詰まっていた。
「直人、これ本当に凄いわね。香りを嗅ぐだけで肩こりが治っちゃった」
「ああ、世界樹の実とユカリの聖火の相性が良すぎたな。これを一度、お世話になってる国王陛下に届けてこよう」
俺たちは、感謝の印として王宮へと向かった。
国王、実食
王宮の謁見の間。老齢の国王ゼウス13世は、長年の公務と心労で、以前よりも少し背が丸まっているように見えた。
「おお、直人殿にユカリ殿。……ほう、それは?」
「はい。我が家の庭で採れた実で作ったジャムです。お疲れのようですので、パンにでも塗って召し上がってください」
「ふむ、ありがたい……。どれ、一口」
王がスプーンですくい、その黄金のジャムを口に含んだ瞬間――。
王宮が、かつてないほどの眩い光に包まれた。
「な、なんだ!? 王の体が……縮んでいく!?」
「いや、これは……若返っているのか!?」
『報告。世界樹のジャムの効能が、対象の「衰え」を完璧に解体しました。スキル【満たす者】が副次的に発動。王の細胞を全盛期の18歳時まで「満たし」ました』
光が収まった時、そこに座っていたのは、白髪の老人ではない。
精悍な顔立ちをした、金髪の超絶イケメン青年だった。
「……あれ? 体が軽い。というか、声が高いぞ?」
「陛下! 陛下でございますか!?
宰相たちがパニックで右往左往する中、若返った王は自分のツヤツヤな肌を触って呆然としていた。
第二王子の誕生(?)
「直人殿……これは、少しやりすぎではないか? 国民が私だと気づかぬぞ」
「すみません、加減を間違えました……」
あまりの若返りぶりに、王は急遽「隠居していた伝説の第二王子が帰還した」という設定で国政を続けることになった。王妃様もジャムを食べて10代の美少女に戻り、王宮は別の意味で大騒ぎだ。
その時、ナビゲーターが冷徹に告げる。
『警告。王の若返りを見て、周囲の貴族たちの欲求(欲望)が限界値に達しています。彼らの「卑しい本音」をさばきますか?』
「いや、それは放っておけ。それよりユカリ……」
俺は、若返った王を見て「私も食べたら、子供に戻っちゃうかな?」と不思議そうにジャムを指で舐めるユカリを横に見た。
彼女は今でも十分に若く、そして美しい。
「ユカリ、お前はそのままでいいよ。今のままのユカリが、俺は一番好きなんだ」
「……もう、直人ったら」
ユカリが真っ赤になって俺の腕を叩く。その破壊力で俺の防御魔法が少し削れたが、心地よい痛みだ。
しかし、この「若返りの秘薬」の存在は、戦争を企んでいた連中をさらに刺激することになる。
「……若返りか。死すら克服する力……。田中直人、貴様がこれほどまでの『素材』を隠し持っていたとはな」
影で蠢く黒幕たちが、ついに実力行使へと舵を切る。
俺の『さばく者』のナイフが、次に切り裂くのは、この世界の「理」そのものかもしれない。




