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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: 水海雫
第五章

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嘘をつく彼女

「ど、どういうことですか?」

「落ち着いて聞いてくれ。俺と彼女は婚約者同士だった。しかし俺は彼女を妹のように思っていた。故に幼い頃に破棄させていただいた」

「それがなぜ、妊娠に?」

「わからない………」


彼は本気で覚えがないのか目を宙に彷徨わせていた。


「ふふ、それはですわね。愛ですわ!」

「愛?」

「そう愛ですわ!」

「………お父様これは………」

「でまかせではないのだ。リア殿お腹には確かに彼女の子供がいる」

「ですが父上、私はそんなことをし覚えは………」

「分かっている。しかし、現に子供はいるのだ」


お父様が少し俯く。


「正直に話せば楽だぞ息子よ」

「ち、違います!俺はやってません!」

「本当ですか?」

「リアまで!?」


出会った当初から顔には自信があったみたいだからやっててもおかしくない。

ヴァイオレット様は小さく可愛い。

可能性はある。


「神に誓って不埒なことなどやってない!」

「ヴァン様!私のことを見捨てるのですか?」

「………最低ですね」

「い、いやだから………」

「お認めになられたらいいのでは?」

「お願いだ!信じてくれリア!」


珍しくも余裕のない感じから嘘でもないかもと思い始めた頃それは起こった。


パリン!


ガラスが割れ地面に砕け落ちる音がした。

それと同時に丸い玉が室内に投げ込まれる。

その玉からは煙が出ており部屋に充満する。


「きゃ!」


ヴァイオレット様の声が聞こえた。


「ヴァイオレット様!?」

「急いで窓を開けるのだ!」


急いで私たちは割れた窓以外の窓を開ける。

それによってやっと視界がクリアになる。


そこには先ほどまでいたヴァイオレット様はいなかった。


「やられましたね………」

「ああ、拐われた」

「何が目的なのでしょうか?」

「彼女は高位の貴族だ。身代金目的だろうと不思議ではないが………」

「ですが、あの玉おそらく彼女たちの新兵器では?」


彼女たちにヴァイオレット様を誘拐するメリットはあるのだろうか?


「一体なんのために彼女を誘拐など……」

「理由はわかりませんが、彼女たちが関わっているのなら油断はできません。慎重にいきましょう」


まずは現場検証からするしかない。


割れた窓ここらから玉が入ってきた。


外を覗き込むここは二階だ。

流石にここから人を抱えては逃げられない。


となると……


「ドアから逃げたということでしょう」

「ああ、ならまだ屋敷のものが見ているかもしれないな」


そうして屋敷中を探すがどこにも彼女はいない。

目撃情報もない。


捜索から一時間後。


「奥様!」

「どうしたのフラン?」

「先ほどの部屋にヴァイオレット様が倒れています!」


急いで駆けつけるとそこには仰向けになっている彼女がいた。


「ヴァイオレット様大丈夫ですか!?」


肩を揺らして話しかけるとゆっくりと瞼が開く。


「貴方は………」

「貴方は誘拐されていたのです。そして今発見に至りました。怪我はないですか?」


「え、ええ。なんともありませんわ」


彼女は健康そうだった。


「いったい何があったのか覚えていますか?」

「いえ、急に煙の中で誰かに抱き抱えられて……そこからは薬か何かで寝ていたみたいですわ」

「そうですか……」


彼女たちは何を狙っているの?


「ヴァイオレット様は犯人の顔を見ましたか?」

「ええ、彼は大男でした」

「大男ですか……」


それはあり得ない……そこまでの大男なら入った地点で分かっているはず。こんなわかりやすい嘘をつく理由は?


「本当ですか?」

「ええ」


彼女は隠している。

明確に。何かを。






























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