元婚約者
市民からの批判殺到!
貴族の私腹を肥やすやり方を許すな!
新聞には強烈な言葉が並んでいた。
「加熱してますね………」
「ああ、どうも彼女の予定通りのようだな」
あれからしばらく経って市民間ででの貴族への批判は増えていた。
収穫祭のことを機に普段たまっていた不満が徐々に出ているのだ。
「状況は芳しくはないな」
「父上!?どうしてここに!?」
そこには自然と立っているヴァンのお父様が立っていた。
「お前達二人に話しておきたいことがあってな」
「話しておきたいことですか?」
「ああ」
お父様は向かいの椅子に座り机の上に一枚の手紙を置く。
「これは?」
「見てみなさい」
ヴァンが手紙を静かに取り開ける。
中からは一枚の紙。
視線を手紙に這わせる。
「これは………」
「なんなのですか?」
私が手紙を取ろうとすると慌てて彼は手紙を自分の胸元に仕舞い込む。
「なぜしまうのですか?」
「…………まず、言っておくがこれはでまかせだ。俺は何も知らないし記憶にないことだ」
何か怪しい前置きだ。
「………何かやましいことですか?」
視線を彼の胸元の手紙に注ぐ。
「やましくは………ない」
「なんですか?その間は?」
「い、いや!な、ない!」
余計に怪しく見えて仕方ない。
「ヴァン、彼女にも見せてやりなさい。義務だ」
「………分かりました」
彼は勘弁して手紙を私に渡す。
手紙を手に取る。
「貴方の子供がお腹にいます。責任をとってください……………!?」
子、子供!?
「いいか、まず落ち着いてくれリア。俺は絶対に不埒なことはやっていない」
「神に誓って?」
「神に誓ってだ!」
「では、なぜこんな手紙が?」
「俺も、わからない。完全に身に覚えのないことだ」
彼と他の女性との子供………
考えただけで背筋が凍る。
「しかし、こうして我が家に正式に抗議文が来ているんだ。どうするのだ?ヴァン」
「父上、この人は今どこに?」
「それがな………」
「見つけました!」
彼に向かって小さな女性が抱きついて行く。
それを私は叩き落とす。
「何をするのですか!?」
「貴方こそ何するのですか!私の旦那様に触れないでください!」
「私の?ヴァン様は私のものですわよ!」
女性と私の間で火花が散る。
「だいたい貴方誰ですか?」
「俺も聞きたい誰だ?」
「ヴァン様忘れたのですか!?」
「俺は君を知らない」
「私です!ヴァイオレットです!」
「ヴァイオレット………君か!?」
「はい!ヴァイオレットです!」
二人とも知り合いのようだった。
それが私の心を余計に不安にする。
「リア、彼女は………私の元婚約者だ………」
口から紡がれた言葉は私を不安にさせるだけだった。
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