同じ空を眺める。
彼に手は届かない。
あと少しで届くのに。
しかし、私とヴァンは諦めず手を伸ばす。
もどかしい。
あと少し!
彼は振り返り告げる。
「貴方達ならできます」
そこで目が覚める。
視界には見慣れた天井。
そして、隣にはヴァンの温かさを感じる。
「そうですか…………」
私たちならやれる。
彼はそう言うのですね。
小鳥の鳴き声を聞きながら私とヴァンは朝食を食べている。
ヴァンは新聞を広げてみている。
その記事には「市民の不満高まる」と書かれている。
「狙い通りというわけか」
苦々しく告げる。
「そうですね。見事に上をいかれました」
彼女の予想通り市民の不満は高まっている。
もう一つ何かがあれば爆発するだろう。
まだ何かが起こるだろう。
「しかし、起こってからでは………」
「遅いですね」
後手に回っていては彼女を出し抜けない。
だが、彼女が何か悟らせるようなことをするとは思えない。
「彼なら分かったのでしょうね?」
「かもな」
太陽が雲に隠れ部屋には影が濃く覆う。
その日は公爵家の力を使い情報集収をしたが、ヒントになりそうなものはなかった。
分かったのは間違いなく衝突は起きるということ。
そして、もう止められないほど加熱している。
その事実だけだった。
その日の夜は晴天だった。
星は輝き光っている。
私はベランダに出て星を掴むように手をかかげる。
「掴めそうにはないですね………」
当たり前だが、それが凄く悔しい気がした。
手を強く握ると血が止まりては赤くなる。
それをそこにヴァンがそっと手を添える。
「綺麗な手が台無しだろ?」
「ヴァン………」
「焦っているのか?」
「………分かってるのですけど、もう誰かには死んでほしくないですから………」
分かっている。
それはもう避けられない。
衝突が起きると止まらない。
分かっているのだ。
しかし、それでもなるべく少なくしたい。
そう考えると焦って仕方ない。
「分かってる。君が優しいのもそれが無理なのも。だが、君は一人ではない」
ヴァンを握る。手を強く。
「俺が君を支える。倒れそうなら受け止めるし辛いなら胸を貸す。だから大丈夫だ。どんな結果になろうと君は君の思うように。望むように頑張ればいい。俺はいつだって君の味方で側にいる」
彼の言葉は強く響く。
まるで星にまで届きそうなほど強く確かな言葉に聞こえた。
「やれますかね……」
「ああ、できる。俺は知ってる」
力強くてその手は暖かい。
彼の気持ちがこもっていた。
「彼に笑われますからね?」
「ああ、笑われたくはないからな」
同じ空を見上げる男がいた。
「信じてますよ。貴方達を」
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