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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: 雨夜 フレ
第四章 後継者

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同じ空を眺める。

彼に手は届かない。


あと少しで届くのに。


しかし、私とヴァンは諦めず手を伸ばす。


もどかしい。


あと少し!


彼は振り返り告げる。


「貴方達ならできます」


そこで目が覚める。



視界には見慣れた天井。

そして、隣にはヴァンの温かさを感じる。


「そうですか…………」


私たちならやれる。

彼はそう言うのですね。







小鳥の鳴き声を聞きながら私とヴァンは朝食を食べている。

ヴァンは新聞を広げてみている。


その記事には「市民の不満高まる」と書かれている。


「狙い通りというわけか」


苦々しく告げる。


「そうですね。見事に上をいかれました」


彼女の予想通り市民の不満は高まっている。

もう一つ何かがあれば爆発するだろう。


まだ何かが起こるだろう。


「しかし、起こってからでは………」

「遅いですね」


後手に回っていては彼女を出し抜けない。

だが、彼女が何か悟らせるようなことをするとは思えない。


「彼なら分かったのでしょうね?」

「かもな」


太陽が雲に隠れ部屋には影が濃く覆う。


その日は公爵家の力を使い情報集収をしたが、ヒントになりそうなものはなかった。


分かったのは間違いなく衝突は起きるということ。


そして、もう止められないほど加熱している。

その事実だけだった。


その日の夜は晴天だった。

星は輝き光っている。

私はベランダに出て星を掴むように手をかかげる。


「掴めそうにはないですね………」


当たり前だが、それが凄く悔しい気がした。

手を強く握ると血が止まりては赤くなる。

それをそこにヴァンがそっと手を添える。


「綺麗な手が台無しだろ?」

「ヴァン………」

「焦っているのか?」

「………分かってるのですけど、もう誰かには死んでほしくないですから………」


分かっている。

それはもう避けられない。

衝突が起きると止まらない。

分かっているのだ。

しかし、それでもなるべく少なくしたい。

そう考えると焦って仕方ない。


「分かってる。君が優しいのもそれが無理なのも。だが、君は一人ではない」


ヴァンを握る。手を強く。


「俺が君を支える。倒れそうなら受け止めるし辛いなら胸を貸す。だから大丈夫だ。どんな結果になろうと君は君の思うように。望むように頑張ればいい。俺はいつだって君の味方で側にいる」 


彼の言葉は強く響く。

まるで星にまで届きそうなほど強く確かな言葉に聞こえた。


「やれますかね……」

「ああ、できる。俺は知ってる」


力強くてその手は暖かい。

彼の気持ちがこもっていた。


「彼に笑われますからね?」

「ああ、笑われたくはないからな」


同じ空を見上げる男がいた。


「信じてますよ。貴方達を」














読んでいただき、ありがとうございます。

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