正解のない選択肢
「奥様、今日の新聞です」
「ありがとう、フラン」
フランから新聞が手渡される。
しかし、渡された新聞は穏やかではなかった。
「やっとですね」
「やっとか」
「ええ」
記事は大きく書かれていた。
収穫祭中止になる!?
これはまた大きく出た。
収穫祭の中止などはこの祭りを頼りに生きている庶民に死ねと言うようなものだ。
暴動、衝突も待ったなしだ。
「火種は大きいですね?」
「ああ、特大だな」
しかし、どうやって中止にするつもりなのか。
新聞を細かく読む。
一部貴族から中止の声上がる。
理由は私の命が危ないと言っているらしい。
王はこの申し出をどうするのか?
記事はそう書かれている。
彼女が脅している。
そして、中止を求めている。
そして、おそらく王は求められる。
少数の貴族の命か大勢の民の命か。
なんともタチの悪い。
彼女はどうも私たちと王を試している。
王はきっと私にも相談するはず。
それを踏まえて彼女は王を巻き込んだ。
「リア、これは厄介だぞ」
「ええ、これは今までの比ではありませんね…」
どちらも大切な命。
どちらを選んでも角は立つ。
貴族を選べばやはりと言われて衝突も避けられないだろう。
しかし、庶民を選べば王家ならびに庶民への不満はたまる。
それはいずれ何かしらの形で衝突に向かうだろう。
つまり正解のない選択肢。
そう言うわけだ。
だが、彼女は分かっている。
私たちが前提として貴族側を選ぶことはないと。
つまり、何とかできる道は用意されているはず。
彼ならそうするはずだ。
「貴族の命か……やはり前のように内部にスパイがいるのか」
「おそらくは」
さすがに貴族もそこは警戒しているはずだが彼の組織の人間ならどうとでもなるだろう。
となると、暗殺を止める手はない。
事実不可能ということだ。
つまり切り込むべきポイントはそこではない。
私はもう一度、新聞を見る。
一部貴族から中止の声上がる。
理由は私の命が危ないと言っているらしい。
王はこの申し出をどうするのか?
この記事は何かおかしい……
そう感じる。
何かが抜けている。
「ヴァン、この記事に何か違和感を感じませんか?」
「そうだな……」
彼は椅子から立ち上がり私の周りをうろうろしながら考えていた。
しかし、何位も思い浮かびあがらないのか私に抱き着いてくる。
「だめだ。思いつかない……」
彼の手をなでる。
「そうですか……」
この新聞に何かあるはずなのだ。
彼の模倣をしている彼女ならただ救いのない回避不可能なことはしないはず。
私は人差し指を上げて口にもって行き考える。
「リア、大丈夫か?」
彼の声が優しく頭に響く。
心地がいい。
少し頭が柔らかくなった気がする。
「リア、何も選択肢は一つじゃないんだ王たちとも相談して……」
選択肢は一つではない。
「!?……なるほど」
仮定が一つ。
私の脳内に完成する。
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