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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: 水海雫
第四章 後継者

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メッセージ

「つまり彼女たちはそれぞれの陣営を衝突、地ならしをしようというわけだ」

「ええ、それが狙いだと思われます」


私たちは事の顛末そして、今後の仮定を王子に話していた。


「しかし、地ならしか……」


地ならし。

それは凹凸をなくす作業。

一定に戻す作業のことだ。

つまり彼らは、貴族と庶民での関係を一回平らにするつもりだ。


「彼女、サファイアの言うことを信じるなら彼女は何かしらヒントを出すはずです」


彼女は彼のやり方を模倣している。

なら、絶対に何かしらのヒントを出すはずだ。


私は人差し指を上げて告げる。


「学校の件は彼でなく彼女が小規模実験をしていた可能性はあり得ます」

「……なるほど」


そうなると彼かどうかは分からない。

しかし、どちらにしても私にはあれがヒントだったように思う。

私たちに知らせ試すためのヒント。

そう捉えるのが妥当だろう。


「つまり彼女はすでに彼を模倣していた可能性があると?」

「ええ」


私は椅子から立って窓の外を眺める。


「おそらくヒントは出されている可能性があります」

「そうだね。それは十分あり得るよ」

「しかし、常に王都にいない俺たちは察知することができないのではないか?」

「ヴァン、彼らはあるものを独占しています。それが知らせてくれます」

「あるもの?」

「ええ、新聞です」


そう彼らの手中にある新聞を使って意図的にヒントを出す。

それなら私たちがどこにいてもすぐに伝わるだろう。


「しかし、なぜそう言えるのだ?」

「彼女は私とヴァンに新聞は自分たちが作ったもので目的まで教えました」


それはきっと、私たちがより新聞に興味を持ちメッセージに気づきやすいようにだろう。


「それが彼女なりの初めのヒントだった……」


殿下が呟く。


「ええ、彼ならやりそうなことですから、それに小さすぎて私たちが気づけない可能性も考慮するとそれが一番確かですから」


しかし、しばらくは動きはないだろう。


「彼女は今準備期間に入っているはずです」

「革命のか?」


ヴァンが聞いてくる。


「ええ、彼のやり方の模倣を信条にしているなら不確かな方法はとらない。確実に衝突庶民と貴族の不満が爆発ぶつかり合う。そんな瞬間を待っているはずです」


「しかし、リア、そんな都合のいい状況があるのか?」

「一つあります」


私は目を細める。


「奥方まさか……収穫祭か?」

「それが条件に見合っています」


収穫祭。


その名の通り収穫を祝う祭りだ。

しかし、これは大きな禍根があった。

この行事を貴族はよく思っていない。


理由は簡単だ。

収穫が豊作なら収穫物の徴収を上げたい。

しかし、この行事を名目にこの期間の徴収増幅は免除になっている。

貴族からすれば厄介そのもの。


しかし市民からすればこの収穫祭があればこそ生き延びている人たちもいる。

仮にだ。もし、この収穫祭に何か問題があれば市民の怒りは最近の新聞などの効果もあり爆発するのは目に見えている。

実に都合のいい祭りなのだ。


「彼女たちはそれを利用する可能性が高い……そういうことかリア」

「ええ、直近の行事で役立つのはそれかと」

「なるほど、収穫祭までまだ時間が多少ある。だからしばらくは動かない」

「はい、そう思います」


そして、始まる彼女たちが私たちに向けたメッセージのために起こす事件が。


「ふふ、さあ解いて見なさい。あの方が認めたあなたたちならできるでしょう」








読んでいただき、ありがとうございます。

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