残火
「ほら、リア。あっちに屋台があるぞ!」
ヴァンが嬉しそうに私を呼んでいる。
それもそうだろう。
今回は市民へのアピールを考えて外を回ることにした。
普段屋台などは私たちはなるべく食べないようにしている。
なので、ヴァンは興奮気味だ。
「久しぶりだ!」
「おお!あなたは公爵様!お久しぶりです!」
仲良く屋台のおじさんと喋っている。
「お知り合いで?」
「ああ、よく王子とここにきて串焼きを買っていたんだ」
「ふふ、懐かしいですな?」
「ああ」
さぞかし楽しそうなヴァン。
それに自然と私は笑みが漏れる。
「新聞では契約だと書かれていたが、その様子だと出まかせみたいですな?」
「ああ、俺はリアを愛してるからな。宣伝よろしくな?」
「ええ、任せてください」
そうして私たちは次の店に行く。
そうしてしばらくは屋台を回っていた。
「いますね?」
「ああ、なかなかの腕だ」
案の定尾行されていた。
しかも、相手はプロだ。
「どうしますか?」
「とりあえず人気のないところに行こう」
「分かりました」
私たちは人気のない路地に入りそこで声をかける。
「そろそろ出てきてくれないか?」
ヴァンが声をかけると物陰から少年が出てくる。
「ばれちゃったか」
「こ、子供?」
「なんだよ子供だと悪いのか?」
男の子は少しむすっとして頬を膨らませる。
「いや、構わないぞ?君は新聞を作っている組織の人かな?」
「おう!」
にっこり笑っている。
「君に聞きたいことがあるんだ」
「うん?なんだ?」
「君たちはなぜこんなことをしてるんだ?」
「俺は金がもらえるからだけど、この組織を作ってくれた人は貴族と庶民の平等のためだって言ってたぞ?」
組織を作った人?
「この組織は君たちが作ったんじゃないのか?」
「いいや、なんか大勢の大人たちが初めは取り仕切ってたんだ」
「大勢?」
彼じゃないのか?
「そう、大勢。で組織が安定したら数人を残して撤退してた」
この組織は団体がかかわっている?
どういうことだ?
「ねえ、その人達は自分たちのことなんて言ってたの?」
「うん?えーとたしかあの人の意思を継ぐものだとか言ってたな」
「!?」
あの人の意思……
「ヴァン」
「ああ、残党だ」
彼らが動いている。
つまり残火があった。
そう言うことだ。
だが、腑に落ちないとこもある。
「印刷とかはどうやっているの?あんなに多くの文字は大変でしょ?」
「いいや、活版印刷ていうのがあるから楽」
「活版印刷?」
「詳しく教えてくれるか?」
話を聞くに活版印刷とは凸状のの金属活字や樹脂版にインクを塗り、紙に強い圧力かけて転写する方法があるらしい。
その技術力の高さアイディアには彼の意思を感じる。
だが、組織は残党のみのはず。
「活版印刷は誰が考えたとか聞いてない?」
「全然知らない。だけど、あの人たちじゃないみたい」
残党じゃない……
やはり彼の意思を感じる。
だが彼らはあの人の意思を継ぐものだと言ってた。
となると彼が生きているかもしれないとは知らない。
どういうことだ?
「で、君は今日は俺たちの契約結婚の真偽にについて調べるために尾行してたの?」
少年は頭を振る。
そして歪な笑みになる。
「ここに誘い出して話に応えるのが仕事だよ」
その言葉ではっとして後ろを振り向く。
その瞬間強い衝撃に襲われて意識を失う。
視線の端には同じように倒れるヴァンの姿があった。
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