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貧乏辺境貴族令嬢の契約結婚から始まる事件簿  作者: 水海雫
第四章 後継者

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新聞紙の登場

城下町のはずれで殺人発生。


大きな文字で書かれている。


「これが新聞か………」


「ええ、最近王都で売られているものです」


そこにはいろいろな情報が載っている。

時事ネタ。ゴシップなど。


「これは役に立つな?」

「ええ、情報源は多い方が色々いい。そうすれば判断材料として役立ちますからね」


物事の判断にはたくさんの情報源がいる。


そうして、正解がわからない中から、最善を選ぶ。それが選択。それにこの新聞というのはいい。


「にしても一体誰が………」

「なんでも、売り子に聞いても委託されただけで分からないと」


謎は深い。

まず、情報源はどこから来ているのか?


これはでまかせだと最初はみんな思っていた。

だが、確実なものばかりでなくても多くは当たっているもの。

そして、どれも完全なデマはなかった。


それを王家は調べて判明。

故に王も黙認している。


つまり王家公認の情報力なわけだ。

どこからそんなもの出てくるのか。


次に、その印刷技術。

あんなに大量にどうやって印刷をしているのか。


最後に目的だ。


新聞は確かに役に立つ。

だが、それは貴族にとっては厄介なものだ。

新聞の中には貴族のゴシップなども載っている。

しかし、王が黙認している。

それを圧力で潰すことは王家に逆らうことに近い。


ーー故にできない。


そうして、貴族は不利な状況を受け入れるしかない。


これを作っているのは貴族ではない。

それは確かだろう。


しかし、不思議なことがある。

それは彼らの財源だ。

今こそ新聞は飛ぶように売れている。

だが、最初の資金はいったいどこから?

庶民が作っているならかなり無理がある。

でも、貴族が発行しているわけではない。


「謎は深まるばかりですね?」

「ああ」

「それにこれ……どうします?」

「どうする?」


私の目線の先には大きな文字で書かれている記事が目に止まる。


公爵家の2人は契約結婚!?


偽りの愛なのか!?


と大見出しで書かれている。


「「はあ」」


2人でため息が出る。


どこから漏れたかは分からない。

だが、今になってとは………


「すでに契約ではないのですけどね?」

「まあ、庶民は知らないからな………」


このままでは品位が下がる。

私の品位はいいとして、公爵家の品位を下げるのはまずい。


「どうにかしないといけないな?」

「そうですね………結婚式でもあげますか?」

「露骨すぎないか?」


確かに。


記事が出てから結婚式は流石にまずい。

露骨すぎてフェイクだと思われる。


そんな二人をつゆ知らず外では鳩が呑気に鳴いていた。


「仲睦まじい様子を見て貰えばいいのではないか?」

「仲睦まじい様子ですか?」

「ああ、例えば直接、城下町に出向きデートするとかな?」


ヴァンがにやけながら言ってくる。


「ヴァンがしたいだけでは?」

「まさか」


おどけて答える。


だが、確かにそれが1番マシな選択肢だ。


「分かりました。デートしましょうか」

「ああ!」


はにかみながら答える。


その笑みに少し罪悪感が出る。


実はもう一つ目的がある。

それは新聞の出所調査だった。


私は内密に王子から依頼されている。

「新聞の出所を調査してくれないか」と。


そういう意味では今回はいい作戦だ。

今話題の私たちが城下町をデートしている。

何かしら尾行なりなんなりされるはず。

つまり囮作戦みたいなものだ。


ヴァンには申し訳ないが、絶好の機会だ。

さあ、鬼が出るか蛇が出るか。

読んでいただき、ありがとうございます。

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