均衡
「衝突、そして均衡を保ちたかった」
「どうことだい?」
私は手を合わせて告げる。
「考えてみてください、結果、衝突することで均衡は保たれる」
「ああ、どちらの陣営も痛手を負ったということだな」
「はい、そして均衡を保てばどちらの陣営も足並みをそろえるしかできなくなる」
「つまり争いはなくなる」
王子は目を細めて告げる。
「彼が望んだようにかい?」
その一言で空気は重くなる。
「……あいつは死んだんじゃないのか?」
「確定ではありません……ただ」
「方法があまりにも綺麗すぎる。だろ?」
「はい。そのやり方は彼のやり方に似ている」
糸が張っている。
「残党たちがやっている可能性は?」
「否定できません」
今の状況だけでは断定できない。
しかし……
「私には何か強い意志ががあるように感じます」
「意思……どんなだい?」
窓から陽があふれ出して揺れている。
「「貴族と庶民の懸け橋になろうとしている」」
私とヴァンは同時に告げる。
「二人とも見解は一致かい?」
「はい、彼ならそうして見せるでしょう」
「つまり彼は貴族と庶民の和平を目指していると?」
確信はない。
だが彼ならできた道だ。
今までやらなかっただけで。
そしてこれは私へのメッセージにも見えた。
「彼は伝えようとしている。私とヴァン様に」
ーーーー私は選んだと。
「そうか……」
王子は深く椅子に座る。
「この件は介入しますか?」
「……いいや、様子見だろうね。分かってるだろ?」
「ええ」
彼と私たちの目的は一致していると思っていい。
つまり邪魔する理由はないのだ。
「気に入らないがな……」
「問題ないのか?」
「さあね。だから様子見なんだよ。何かあれば介入する。ただ……」
それはないだろう。
翌日。
「王子から手紙です」
ヴァンに手紙を渡す。
「どうも介入はしないようだな」
「ええ」
結果、両陣営、均衡を保っている。
その他の問題もなく介入はしなかった。
「彼は庶民が力を持つことを望んでいた……」
そのはずだった……
「だが、今回は均衡を狙っていた……」
それは意識の改革のなのか。
それともただの布石なのか。
「どちらにしても彼は私たちは私たちの信じることをする。ですよね?」
「ああ」
彼の火種はまだ燃えているのか。
それとも残火が残っていたのか。
「ふふ、やはりわかりますか………」
男の嬉しそうな声は部屋に響く。
部屋を照らす火の光が微かに揺れている。
彼の行き道のように。
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