第三者の関与
「ようこそ、よく来たね」
王子が営業スマイルで対応する。
「今日はあることの確認と調査に来ました」
「いきなり本命だね?とにかくお茶でも飲まないかい?」
「あのな、俺たちは遊びに来たのでは………」
「知ってるよ?」
にっこり満面の笑み。
「王子、やはりあなたですか……」
「ふふ、確証が何かあるのかい?」
「その笑みが証拠であり確証です」
王子はただ笑うだけ。
「まあ、とにかく部屋に案内するよ」
「はあ」
そうして、彼によって部屋に案内される。
「で、今日は何かな?」
「………怒りますよ?」
「ふふ、悪かったよ。学校の件だろ?」
「はい」
私は改めて資料を渡す。
「私に解決案を出せと?」
「そこまでは言わないよ。ただ原因を突き止めてほしい」
「やはり人為的ですか………」
「気づいていたのかい?」
私は頷く。
「盗難目的ではない。何かがある。つまり人為的にどちらかの陣営、貴族側か庶民側かのどちらかが仕組んだことにしたほうが筋が通りますから」
「ああ、僕もそれに勘づいた。その上で君たちにはその原因を突き止めてほしい。いや、元凶かな?」
「はあ、お前な。無茶ばかり言うんじゃない。リアは何でも屋じゃないぞ?」
「ふふ、僕の専属もいいかもね?」
「ふふ、面白い冗談だ。リアは俺のものだ」
2人の間でよくわからない火花が散っていた。
「はあ、2人とも私は私のものですよ」
私は浅く息を吐き続けて聞く。
「でヴァン、今回の件は私も気になります。やらせてくれませんか?」
「いいのかリア?」
「ええ、何か感じるんです………強い意志みたいなものが」
「そうか………分かった」
ヴァンは仕方なさそうに深く息を吐く。
「リアリス殿はいつからヴァンを呼び捨てにするようになったのかな?」
王子がニヤニヤしながら聞いてくる。
ほんと余計な人だ。
「ごほん。それより王子、この件ですが………」
コンコン。
私がさらに詳しく事情を聞こうとしているとドアがノックされる。
「王子、新しい調査報告が上がってきました」
「そうか、ご苦労」
王子は兵から書類を受け取る。
その目は少し大きく開く。
口元はにやけている。
「リアリス殿これを」
そう言って報告書を渡してくる。
「これは………」
内容は簡単だった。
庶民側からも盗難物が出た。
「貴族側でも庶民側でもない可能性が出てきましたね?」
「ああ、第三者の可能性が濃厚だね?」
「待て待て、どう言うことだ?」
ヴァンは状況がわからず戸惑っていた。
「ヴァン今回の騒ぎは私もリアリス殿もどちらかの勢力が自作自演をしている可能性を考えていた」
「つまり、貴族は庶民が学ぶことへの反抗。庶民は貴族と一緒に学ぶことへの反抗だった可能性があったと言うことか?」
「そうだね。詳しい理由はわからないけどその可能性が高かった。しかし………」
王子は手を口元に持っていく。
「その可能性が消えた?」
「はい、そうです」
もしどちらの陣営が自作自演でやっているなら自分に不利になるようなことはしない。つまり片方だけが窃盗なら話はわかる。
だけど、両陣営に被害が出たのなら話は別だ。
「しかし、両陣営が自作自演している可能性も………」
「それは低い。でしょ?リアリス殿」
「ええ、ただでさえ自作自演が疑われているなかでは自分たちも疑われてしまう」
「なるほど……」
しかしこうなると犯人の狙いは?
「まるで喧嘩をさせたいようだな?」
喧嘩?
両陣営に?
なぜ?
衝突、均衡。
まさか………
「さすがヴァンです」
「うん?何か分かったのか?」
私は手を膝の上に置き告げる。
「首謀者の目的は両陣営の衝突が目的なのかも知れません」
つまりやはり盗難自体は目的じゃなかった。
ーーー衝突させるための手段だったのだ。
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