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異世界転生したら学園となりのゴーストタウンでした~怖がらない俺がハロウィンの街を作ったら世界一の観光地になりました~  作者: eccen.
第1章 出会いと開拓

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第5話 呪われた街をのぞくお嬢様

「……本当に、ここなの?」


街の入口に立った少女は、小さく息をのんだ。


ルミナ・ヴァレンタイン。


王都でも名の知れた名家の令嬢であり、魔法学園では成績優秀な優等生。


そして――ヨイと同じクラスの生徒だった。


「ゴーストタウンに、新しい領主が来た。」


その噂を聞いた時、ルミナは「また気の毒な人が送り込まれたのね」と思った。


しかし、次に聞いた噂がおかしかった。


「ゴーストと仲良くしているらしい。」


「毎日笑い声が聞こえる。」


「モンスターを働かせている。」


「掃除を始めた。」


どれも信じられない話ばかりだ。


だから確かめに来た。


「……どう考えても、おかしいわ。」


ルミナは杖を握り直し、慎重に街へ足を踏み入れた。


ゴーストが襲ってきても、すぐ魔法を使えるように。


ところが――


「パンプ!」


「はーい!」


「そのランタン、もう少し右!」


「こっち?」


「そうそう!」


「社長!」


「できた!」


「いい感じ!」


元気な声が聞こえてくる。


ルミナは目をぱちぱちさせた。


(……社長?)


恐る恐る角からのぞく。


そこには信じられない光景が広がっていた。


ヨイが脚立に乗って古い看板を磨いている。


その下では、小さなパンプキンヘッドが工具を運び、白いゴーストが窓を磨き、ちびゾンビの少女が落ち葉を集めていた。


みんな楽しそうに笑っている。


「そこ、もう少し!」


「はい!」


「ココ、無理するなよ!」


「だ、大丈夫です!」


「きゃっ!」


ココはまた転んだ。


ぽこん。


頭が転がる。


「わわっ!」


パンプが笑いながら頭を拾って渡した。


「ありがとう!」


「気をつけて!」


二人とも笑っている。


(え……。)


ルミナは言葉を失った。


ゴーストやモンスターは、人を襲う存在。


そう教えられて育ってきた。


なのに。


目の前の光景は、まるで家族のようだった。


「よし!」


ヨイが満足そうに街を見回す。


「入口は完成!」


「やったー!」


みんな拍手する。


その笑顔を見たルミナは、思わず一歩前へ踏み出してしまった。


「誰?」


パンプが気付く。


しまった。


ルミナは慌てて姿勢を正した。


「わ、私は怪しい者ではありません!」


「怪しい人って、みんなそう言うよね。」


ヨイが笑いながら近付いてくる。


「あ。」


ルミナは思わず後ずさった。


「ヨイくん……。」


「ルミナ?」


二人は同時に目を丸くした。


「同じクラスだったのか。」


「そ、それは私の台詞よ!」


ルミナは少し頬を膨らませる。


「どうしてこんな危険な場所にいるの?」


「俺の領地だから。」


「それは知ってるわ!」


「じゃあ問題ない。」


「大問題よ!」


ルミナは思わず声を張り上げた。


「ゴーストに囲まれてるじゃない!」


「うん。」


「襲われたらどうするの!」


「襲わないよ?」


「え?」


ヨイが振り返る。


「みんな。」


「はい!」


「ルミナさんに挨拶。」


パンプがぺこりと頭を下げる。


「こんにちは!」


ココもぺこり。


「こんにちは……。」


白いゴーストも照れながら手を振る。


「こんにちは。」


アルまで優雅に一礼した。


「ようこそ、ゴーストタウンへ。」


「…………。」


ルミナは固まった。


(あれ?)


(襲ってこない。)


(というか……。)


(礼儀正しい?)


「ね?」


ヨイが笑う。


「みんな優しいだろ。」


「い、いや……。」


ルミナの頭は混乱していた。


教科書と現実が一致しない。


「でも……。」


ルミナは小さく首を振る。


「ゴーストは危険って……。」


「危険じゃないよ。」


ヨイは即答した。


「寂しかっただけ。」


その一言に、ゴーストたちの表情が少し曇る。


ルミナも気付いた。


誰も反論しない。


「人間が怖がる。」


「だから近寄らない。」


「だからゴーストも寂しくなる。」


ヨイは穏やかに続ける。


「だったら、一緒に笑える場所を作ればいい。」


「……。」


「俺はそう思っただけ。」


ルミナはヨイの横顔を見つめた。


まっすぐだった。


打算も嘘もない。


本気でそう信じている顔だった。


その時だった。


ぐぅぅぅぅ……


静かな街に、大きなお腹の音が響いた。


「…………。」


全員の視線が、一斉にルミナへ集まる。


「ち、違っ!」


ルミナの顔が一瞬で真っ赤になる。


「これは、その……!」


ヨイは吹き出しそうになるのを必死でこらえた。


「ちょうど休憩にしようか。」


「え?」


「みんな、お茶の時間だ!」


「やったー!」


パンプたちが歓声を上げる。


「ルミナも一緒にどう?」


「え……私も?」


「もちろん。」


ヨイは笑顔で答えた。


「ゴーストタウンへようこそ。」


ルミナは少しだけ迷った。


けれど、目の前で嬉しそうに笑うパンプたちを見て、小さくうなずく。


「……少しだけなら。」


その返事に、パンプたちは「新しいお友達だ!」と大喜びするのだった。

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