第46話 王国公認へ! 超巨大ハロウィン・フェスティバル計画!
「超巨大ハロウィン・フェスティバル?」
ルミナが聞き返した。
「そう!」
ヨイは机の上いっぱいに広げた紙を指差した。
「今までの祭りは、この街に来てもらった人たちに楽しんでもらうイベントだった。」
「でも、今回は違う。」
「王都や周辺の街から、わざわざここへ来てもらう。」
「つまり――。」
パンプが身を乗り出す。
「もっと大きなお祭り?」
「その通り!」
ヨイは拳を握った。
「国中にハロウィン・タウンを知ってもらうんだ!」
「なるほど……。」
ルミナは地図を見る。
「でも、どうやって?」
「まず、王都に宣伝する。」
「宣伝?」
「ポスター。」
「新聞。」
「街道の看板。」
「それから――。」
ヨイはニヤリと笑う。
「王都からハロウィン・タウンまでの特別便を作る。」
「特別便?」
「観光用の馬車だ。」
ルミナの目が輝いた。
「それなら、移動そのものをイベントにできるわ。」
「そう!」
ヨイは嬉しそうに頷く。
「ハロウィン・ロードも、もっと整備する。」
「途中に休憩所を作って。」
「道沿いにカボチャ畑を作って。」
「夜はランタンで照らす。」
「王都からここまで、全部がハロウィンになる。」
セドリックも資料を覗き込む。
「……これは、かなり本格的ですね。」
「どう思います?」
「成功すれば、観光地としての実績は十分でしょう。」
「よし!」
ヨイは立ち上がった。
「やろう!」
その日から――。
ハロウィン・タウンは、再び大改造を始めた。
まずは街の広場。
「ここに大きなステージを作ろう!」
ゴーストたちが木材を運ぶ。
「もっと大きく!」
「はい!」
「客席も増やそう!」
「了解!」
次に屋台。
「料理はもっと種類を増やす!」
ココがメモを取る。
「パンプキンパイ!」
「パンプキンスープ!」
「焼きカボチャ!」
「カボチャプリン!」
「カボチャパン!」
「……カボチャばっかり。」
ルミナが呟く。
「ハロウィンだからいいんだよ。」
ヨイは笑った。
そして――。
「新商品も作ろう。」
「新商品?」
「そう。」
ヨイが取り出したのは、小さな紙袋だった。
「パンプキンクッキー。」
「普通ね。」
「ただし――。」
ヨイが指を鳴らす。
「魔法をかける。」
「え?」
ルナが興味を示す。
「食べると、舌が少しだけオレンジ色になる魔法。」
「……。」
ルミナが呆れる。
「それ、必要?」
「必要。」
「なぜ?」
「ハロウィンだから。」
「理由になってないわ。」
パンプが笑う。
「面白そう!」
「だろ?」
「じゃあ、ぼくも作る!」
「頼んだ!」
そんな調子で準備は進んでいった。
そして。
王都にもポスターが貼られた。
『王国初!』
『ハロウィン・フェスティバル開催!』
『ゴーストと魔物と人間が一緒に楽しむ、世界で一つだけの祭り!』
『巨大カボチャ!』
『お化け屋敷!』
『ランタンパレード!』
『パンプキン料理!』
『魔法アトラクション!』
王都の人々は、そのポスターを見てざわめいた。
「ハロウィン?」
「ゴーストと一緒に祭りをするのか?」
「面白そうだな。」
「行ってみようか。」
一人。
また一人。
興味を持つ人が増えていった。
さらに。
新聞にも記事が掲載された。
『ゴーストタウンが一夜にして観光地へ』
『謎の祭典ハロウィンとは?』
『王女殿下も絶賛!』
そして――。
記事の最後には、大きくこう書かれていた。
『今年、王国最大級のハロウィン・フェスティバル開催予定』
「……。」
王都の人々が記事を読む。
「王女様が行ったんだって。」
「国王陛下も視察したらしいぞ。」
「じゃあ、安全なんだな。」
「それなら行ってみたい!」
少しずつ。
少しずつ。
人々の中に――。
ハロウィンという言葉が広がっていった。
一方。
ハロウィン・タウンでは。
「大変!」
ルミナが走ってきた。
「どうした?」
「王都から連絡が来たの!」
「何?」
「フェスティバルの日――。」
「王都から大量の観光客が来るわ。」
「どれくらい?」
ルミナが書類を見せる。
「最低でも――。」
「五千人。」
「……。」
ヨイが固まる。
「五千?」
「ええ。」
「一日で?」
「一日で。」
ヨイは街を見渡した。
今の街にいるスタッフ。
ゴースト。
魔物。
学園の生徒。
「……足りない。」
「そうね。」
「圧倒的に足りない。」
「だから言ったでしょう。」
ルミナはため息をつく。
「もっと早く計画を立てるべきだったのよ。」
ヨイはしばらく黙っていた。
そして――。
ニヤリ。
「なら、仲間を増やそう。」
「仲間?」
「うん。」
ヨイは街の外を見る。
「この街にいる魔物だけじゃない。」
「王都の人間も。」
「学園の生徒も。」
「近隣の町の商人も。」
「みんなに協力してもらう。」
ルミナは少し驚いた。
「……この街だけでやるんじゃないの?」
「違う。」
ヨイは笑った。
「この街を――。」
「みんなで作るんだ。」
その言葉を聞いて。
ゴーストたちが顔を見合わせる。
パンプが笑う。
ココも笑う。
アルも頷く。
そして。
セドリックが静かに言った。
「それなら、私にも一つ提案があります。」
「何です?」
「王都から、臨時の観光協力隊を派遣しましょう。」
「え?」
「祭りの運営を手伝う人間を集めます。」
「王都側も、この祭りを成功させたい。」
ヨイは驚いた。
「そこまでしてくれるんですか?」
「ええ。」
セドリックは笑った。
「この祭りが成功すれば――。」
「ハロウィンは、王国の新しい観光資源になりますから。」
「……。」
ヨイは拳を握った。
「絶対に成功させよう。」
「ええ。」
そして。
その日の夕方。
王都へ向かう馬車が出発した。
その馬車には――。
『ハロウィン・フェスティバル協力者募集』
と書かれた看板が掲げられていた。
すると。
街道沿いで、その看板を見た一人の少年が立ち止まった。
「……ハロウィン。」
少年は興味深そうに看板を見る。
そして――。
「面白そうだな。」
その少年は、王都で有名な冒険者だった。
彼の参加が――。
後のハロウィン・フェスティバルを大きく変えることになる。
そして同時に。
王都では、ハロウィンを巡って――。
「そんな危険な祭りを国が認めていいのか!」
という反対意見も出始めていた。
ハロウィン・タウンは、初めての大きな壁に直面する。




