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異世界転生したら学園となりのゴーストタウンでした~怖がらない俺がハロウィンの街を作ったら世界一の観光地になりました~  作者: eccen.
第5章 ハロウィンの街、観光名所へ!

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第42話 王都調査開始! ゴーストたちの仕事ぶりを見せろ!

「それでは、調査を始めます。」


王都観光振興局のセドリックは、手帳を開いた。


「まず確認したいのは、施設の安全性です。」


「任せてください!」


ヨイは胸を張った。


「ハロウィン・タウンの案内をします!」


「お願いします。」


「ルミナ!」


「分かってるわ。」


ルミナは用意していた資料を取り出した。


「こちらが街の見取り図です。」


「避難経路、救護所、消火用の水場、魔法灯の配置まで記載しています。」


セドリックが目を見開く。


「かなりしっかりしていますね。」


「安全面は、私が担当しましたから。」


ルミナは得意そうに微笑んだ。


ヨイが小声で言う。


「さすがルミナ。」


「当然よ。」


「俺だったら、たぶん『危なくなったら逃げる』くらいしか書かない。」


「あなたは調査対象から外したほうがいいかもしれないわ。」


「ひどい。」


セドリックが思わず笑う。


「なるほど。」


「この街は、領主だけで運営しているわけではないのですね。」


「はい。」


ルミナが頷く。


「それぞれが役割を持っています。」


「では、実際に見せてもらいましょう。」


「まずは――。」


ヨイが指差した。


「お化け屋敷!」


セドリックの眉がぴくっと動く。


「……。」


「どうしました?」


「私は、お化け屋敷というものに入ったことがありません。」


「それはもったいない!」


ヨイの目が輝く。


「ぜひ体験してください!」


「調査ですからね。」


セドリックはため息をつきながら中へ入った。


「いらっしゃいませ……。」


ココが入口で待っている。


「本日は、怖くないお化け屋敷です。」


「怖くない?」


「はい。」


「それでは、お化け屋敷ではないのでは?」


ココは少し考えた。


「……かわいいお化け屋敷です。」


「なるほど。」


セドリックが中へ進む。


暗い廊下。


壁には不気味な絵。


足元には紫色の魔法灯。


そして――。


「うらめしや~!」


ココが突然現れた。


「うわっ!」


セドリックが飛び上がる。


「……。」


「……。」


ココが固まる。


セドリックは胸を押さえていた。


「これは……。」


「はい?」


「思ったより怖いですね。」


ココの顔がぱっと明るくなる。


「本当ですか!?」


「ええ。」


「やった!」


ところが。


ココが喜びすぎて足元の布に引っかかった。


「きゃっ!」


ころん。


ぽろっ。


頭が外れる。


「……。」


セドリックが黙る。


ココは慌てて頭を拾う。


「す、すみません……。」


セドリックは頭を抱える。


「怖いのか、可愛いのか……判断に困りますな。」


「それが、この街の魅力です。」


後ろからヨイが笑う。


「怖いだけじゃない。」


「笑える怖さ。」


「それがハロウィンです。」


セドリックはメモを取った。


『恐怖と娯楽の融合――独自性あり。』


「次はこちらです。」


ヨイが案内する。


「パンプキン料理の屋台!」


「食事ですか。」


「はい。」


セドリックが屋台を見る。


パンプキンスープ。


焼きカボチャ。


パンプキンパイ。


カボチャクッキー。


「……。」


セドリックの目が少し輝いた。


「これは……。」


「食べてみます?」


「調査ですから。」


セドリックはスープを一口。


「……。」


もう一口。


そして。


「美味しい。」


ココが嬉しそうに笑う。


「本当ですか?」


「ええ。」


「野菜は、全部この街で育てました!」


「この街で?」


「はい!」


そこへヨイがやってくる。


「俺のチート能力で――。」


ルミナが素早く口を塞いだ。


「余計なこと言わない!」


「むぐっ!」


セドリックが首を傾げる。


「チート?」


「何でもありません。」


ルミナが笑顔でごまかす。


セドリックは少し怪訝そうだったが、再びスープを飲む。


「素材が良い。」


「ありがとうございます!」


「特にカボチャが素晴らしい。」


「でしょう?」


ヨイが嬉しそうに答える。


「この街の名物にできます。」


セドリックがメモを取る。


『名産品としての可能性――高い。』


ヨイは拳を握る。


「よし!」


「何が『よし』なの?」


ルミナが聞く。


「観光地には名物料理が必要だろ?」


「確かに。」


「ハロウィン限定パンプキンパイを定番商品にしよう。」


「もう次の商売を考えてる……。」


セドリックが笑った。


「実に商魂たくましい。」


次に向かったのは、街の中央広場。


そこでは――。


ゴーストたちが働いていた。


「いらっしゃいませ!」


「お菓子はこちらです!」


「道はこちら!」


「迷子はいませんか?」


セドリックは驚いた。


「……。」


「何か?」


ヨイが尋ねる。


「ゴーストたちが、普通に接客しています。」


「はい。」


「誰も怖がっていない。」


「最初は怖がってました。」


「ですが?」


「一緒に働いて、一緒に笑って。」


ヨイはゴーストたちを見る。


「いつの間にか、仲間になりました。」


セドリックはしばらく黙っていた。


そして。


「これは……。」


静かに呟く。


「観光地としてだけではありませんね。」


「え?」


「人間と魔物が共に働く場所。」


セドリックは手帳を閉じた。


「この街には、観光以上の価値があるかもしれません。」


ヨイは少し驚いた。


「……。」


「でも。」


セドリックは真剣な顔になる。


「一つだけ確認したい。」


「はい。」


「魔物たちは、本当にここで暮らすことを望んでいるのですか?」


その質問に。


ゴーストたちが振り返った。


一瞬の静寂。


すると。


一番年老いたゴーストが前に出た。


「もちろんです。」


「ここは、私たちの家ですから。」


別のゴーストが続く。


「昔は、人間が怖かった。」


「でも今は違う。」


「一緒に祭りを作れる。」


「一緒に笑える。」


「だから――。」


ゴーストたちは笑った。


「ここにいたい。」


セドリックは黙って彼らを見る。


そして。


ゆっくり頭を下げた。


「分かりました。」


ヨイが目を見開く。


「え?」


「調査官として、確かに確認しました。」


セドリックは顔を上げる。


「この街には、住民がいる。」


「そして、彼らにはここで暮らす意思がある。」


「……。」


ヨイは胸が熱くなった。


ゴーストタウン。


誰も住んでいないと思われていた場所。


でも違った。


ここにはずっと――。


住民がいた。


ただ、人間が見ようとしなかっただけだ。


「ありがとうございます。」


ヨイは頭を下げた。


「何のお礼です?」


「ちゃんと見てくれたこと。」


セドリックは少し驚いた。


そして微笑む。


「まだ調査の初日ですよ。」


「結論を出すには早すぎます。」


「ですよね。」


「明日は――。」


セドリックは街の外を指差した。


「観光客の流れを確認します。」


「つまり?」


「王都から来た人間が、この街まで安全に移動できるか。」


「交通の問題ですね。」


ルミナが頷く。


「そうです。」


セドリックは真剣な顔で言った。


「どれだけ素晴らしい観光地でも、たどり着けなければ意味がない。」


「明日は街の外を調べます。」


ヨイは笑った。


「分かりました。」


「じゃあ、明日は――。」


「この街への道も、ハロウィン仕様にしましょう!」


「……。」


ルミナが額を押さえた。


「また始まった。」


セドリックも苦笑する。


「あなたは、本当に何でもイベントにしますね。」


「はい!」


「褒めてませんよ。」


「ありがとうございます!」


「だから褒めていません。」


街に笑い声が響く。


しかし。


その日の夜。


王都の馬車が泊まる宿で、セドリックは一人、報告書を書いていた。


そして最後に――。


一文を付け加えた。


『本件は単なる祭りの認可問題ではない。』


『魔物と人間の新しい共存モデルとして、国王陛下への報告を推奨する。』


だが。


セドリックはまだ知らなかった。


翌日の調査で――。


この街最大の問題が見つかることを。


「ハロウィン・タウンには、正式な入口が存在しない」


という問題を。

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