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異世界転生したら学園となりのゴーストタウンでした~怖がらない俺がハロウィンの街を作ったら世界一の観光地になりました~  作者: eccen.
第3章 ハロウィン・フェスティバル開幕!

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第28話 増殖するカボチャ!? 畑がモンスターだらけに!

「おはよう、ジャック!」


翌朝。


ヨイが畑へやって来ると、ジャックが元気よく手を振った。


その隣では、パンプとココが何かを作っている。


「何してるんだ?」


「ジャックの帽子!」


パンプが答えた。


「ハロウィンの仲間なら、帽子が必要なんだって!」


「なるほど。」


ヨイは笑う。


ジャックの頭には、黒い布で作った小さな三角帽子が乗せられていた。


「似合ってる。」


ジャックは嬉しそうに胸を張る。


「よし。」


ヨイは畑を見渡した。


「今日もカボチャを収穫――」


その瞬間。


「……ん?」


ヨイが止まった。


「どうしたの?」


ルミナが尋ねる。


ヨイは畑を指差した。


「カボチャ、増えてない?」


「え?」


ルミナが目を細める。


昨日までは十個ほどだったはずの魔力カボチャ。


それが――。


二十個。


三十個。


いや、それ以上。


畑いっぱいに転がっている。


「……。」


「……。」


全員が沈黙する。


パンプが一つ数える。


「一、二、三、四……。」


「多い!」


ココも驚く。


「昨日、こんなにありませんでしたよね?」


「なかった。」


ヨイは腕を組む。


「どうして増えたんだ?」


その時。


ころん。


一つのカボチャが動いた。


「……。」


ヨイが振り返る。


カボチャは何事もなかったかのように止まった。


「今、動いた?」


「動いた!」


パンプが叫ぶ。


ころん。


また一つ。


ころん。


さらに一つ。


畑中のカボチャが、少しずつ動き始める。


「え……。」


ルミナの顔が引きつった。


「まさか……。」


ぽん。


一つのカボチャから、細い腕が生える。


ぽん。


別のカボチャからも腕。


さらに。


小さな足。


そして。


カボチャの表面に目が浮かび上がる。


「……。」


「……。」


ヨイは黙って見つめる。


パンプが震える声で言った。


「社長。」


「うん。」


「増えた。」


「うん。」


「ジャックが。」


「うん。」


「いっぱいになった。」


「……そうだな。」


畑には、数十体の小さなカボチャモンスターが並んでいた。


「わあ……!」


ココの目が輝く。


「可愛いです!」


一体のカボチャがココへ近づく。


ちょこちょこ。


ちょこちょこ。


そして。


ぺこっ。


「こんにちは。」


ココも頭を下げる。


「こんにちは!」


すると、周囲のカボチャたちも一斉に頭を下げた。


ぺこっ。


ぺこっ。


ぺこっ。


「可愛い……。」


ルミナまで思わず笑ってしまう。


「でも。」


彼女はすぐに表情を戻した。


「原因は分からないわ。」


「そうだな。」


ヨイはカボチャたちを調べる。


魔力の流れは安定している。


危険な魔力も感じない。


「どうやら、ジャックと同じ種類みたいだ。」


「つまり?」


「魔力を吸収して、モンスター化したカボチャ。」


パンプが嬉しそうに言う。


「じゃあ、みんな仲間!」


カボチャたちが一斉に手を上げた。


「おお!」


パンプも手を上げる。


「仲間!」


ヨイは笑った。


「問題は……。」


畑を見渡す。


「この子たちをどうするかだ。」


一体。


二体なら簡単。


十体でもなんとかなる。


しかし――。


「三十体以上いるぞ。」


ルミナが頭を抱える。


「これ、全部街で飼うの?」


「飼うっていうか……。」


ヨイは考える。


その時。


一体のカボチャが、広場に置いてあったランタンを持ち上げた。


そして。


よいしょ。


街灯の下へ運んでいく。


「……。」


別のカボチャは箒を持った。


掃除を始める。


さらに別のカボチャは、屋台の机を運ぶ。


「働いてる……。」


ルミナが呆然とする。


ヨイの顔が明るくなる。


「そうか。」


「この子たちにも役割を作ればいい。」


「役割?」


「ハロウィンのスタッフ。」


ヨイはカボチャたちを見る。


「ランタン係。」


「掃除係。」


「案内係。」


「飾り付け係。」


「荷物運び。」


「お客さんのお迎え。」


カボチャたちは嬉しそうに跳ねた。


「やる気満々ね。」


ルミナが笑う。


「じゃあ――。」


ヨイはカボチャたちを見渡した。


「今日から君たちは、ハロウィン・スタッフだ!」


「わー!」


パンプが叫ぶ。


カボチャたちも一斉に手を上げた。


「……。」


アルがその光景を見ながら呟く。


「この街。」


「人間より魔物の方が働き者になっていないか?」


「……確かに。」


ルミナが頷いた。


その日の午後。


ゴーストタウンは、さらに賑やかになった。


小さなカボチャたちが街中を走り回る。


「こっちです!」


「ランタンはここ!」


「お掃除します!」


もちろん、実際には言葉を話せない。


けれど。


ジェスチャーだけで、何をしたいのかは伝わってくる。


学園から来たスタッフたちも、すぐにカボチャたちを気に入った。


「可愛い!」


「この子、帽子かぶってる!」


「こっちの子、掃除してる!」


「写真撮りたい!」


「写真?」


ヨイが振り返る。


この世界には、まだ写真機は一般的ではない。


しかし。


魔法学園の生徒の中には、記録魔法を使える者もいた。


「記録魔法で残せるよ。」


「じゃあ、この子たちを宣伝に使おう!」


ヨイは笑った。


「ハロウィンのマスコットだ。」


こうして。


カボチャモンスターたちは、思いがけずイベントの人気者になっていった。


だが――。


その夜。


ヨイは畑を一人で見回っていた。


「……。」


魔力カボチャはまだ残っている。


そして。


その中には、他のカボチャとは明らかに違うものが一つあった。


巨大。


黒に近い紫色。


表面には、複雑な魔力模様。


ヨイが近づくと――。


ドクン。


「……!」


カボチャの中から、魔力が脈打つように伝わってきた。


「なんだ、これ……。」


ヨイが手を伸ばす。


触れた瞬間。


頭の中に、声が響いた。


『もっと……。』


「……え?」


『もっと……魔力を……。』


ヨイは慌てて手を離した。


巨大カボチャは、何事もなかったように畑に転がっている。


「今の……。」


空耳だったのか。


それとも――。


ヨイは巨大カボチャを見つめた。


「まさかな。」


しかし。


そのカボチャは、ゆっくりと。


ほんの少しだけ。


笑ったように見えた。

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