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異世界転生したら学園となりのゴーストタウンでした~怖がらない俺がハロウィンの街を作ったら世界一の観光地になりました~  作者: eccen.
第2章 巨大カボチャを育てよう!

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第16話 幻の黒カボチャの種

「さて。」


ゴーストタウンへ戻ったヨイは、食堂の大きなテーブルに布を広げた。


「いただいた種を整理しよう。」


「はーい!」


パンプが元気よく返事をする。


ココは木箱を運び、ルミナは手帳とペンを取り出した。


アルは袋を静かに開き、中身を一つずつ並べていく。


「トマト。」


「ニンジン。」


「キャベツ。」


「豆……。」


「種類がいっぱい!」


パンプは目を輝かせた。


「村のみんな、本当に大切な種を分けてくれたんだね。」


ヨイは嬉しそうに頷く。


「信用してもらえた証拠だ。」


ルミナも微笑む。


「依頼を引き受けて正解だったわね。」


「うん。」


ヨイは一粒一粒を丁寧に木箱へ分けていく。


その時だった。


「……あれ?」


袋の底に、何かが残っている。


指でつまみ上げると、それは親指ほどの大きさの黒い種だった。


艶のある漆黒。


ところどころに金色の筋が走っている。


「変わった種。」


ココが不思議そうに覗き込む。


「見たことありません。」


ルミナも首をかしげた。


「私も知らないわ。」


アルだけが目を細める。


「……。」


「アルさん?」


「昔、話だけ聞いたことがある。」


部屋の空気が少し静かになる。


「『夜王カボチャ』という品種だ。」


「夜王?」


パンプが目を丸くした。


「強そう!」


「伝説では、満月の夜にだけ実る特別なカボチャ。」


「育てるのが非常に難しく、百年以上見つかった記録がない。」


「そんなに?」


ルミナも驚く。


アルはゆっくり頷いた。


「だが、あくまで昔話だ。」


「本物かどうかは分からない。」


ヨイは黒い種を掌に乗せる。


不思議と温かい。


まるで小さな鼓動を感じるようだった。


(……生きてる。)


そんな感覚がした。


「社長?」


パンプが顔を覗き込む。


「植える?」


ヨイは少し考えた。


すぐに植えて失敗したら終わりだ。


今の自分は、まだ畑づくりを始めたばかり。


「いや。」


ヨイは首を横に振った。


「もう少し待とう。」


「待つの?」


「一番いい土。」


「一番いい季節。」


「一番いい状態。」


「全部そろってから植えたい。」


ルミナは少し意外そうな顔をした。


「すぐ植えないの?」


「大事な種ほど慎重に育てたい。」


「……そうね。」


その言葉に納得する。


ヨイは木箱の奥から、小さな布袋を取り出した。


黒い種を優しく入れ、棚の一番上へ置く。


「君は最後の切り札だ。」


パンプは種へ向かって敬礼した。


「よろしく!」


ココもぺこりと頭を下げる。


「大きくなってね。」


その時だった。


窓の外から小さな歓声が聞こえる。


「社長!」


パンプが窓を開ける。


畑では、昨日まで双葉だったカボチャが、つるを伸ばし始めていた。


「大きくなってる!」


みんなで外へ飛び出す。


昨日より一回り大きい。


葉も増え、元気いっぱいに太陽へ向かって伸びている。


ルミナは目を見開いた。


「普通なら……三日分くらいの成長。」


「やっぱり早いな。」


ヨイはしゃがみ込み、葉にそっと触れる。


すると胸の奥へ、小さな声が届く。


(ありがとう。)


(お水、おいしかった。)


「……。」


ヨイは目を瞬かせる。


(今……。)


「どうした?」


ルミナが心配そうに尋ねる。


ヨイは少し迷ってから答えた。


「植物が。」


「うん。」


「お礼を言った気がした。」


「え?」


パンプは笑顔になる。


「しゃべったの?」


「声じゃない。」


「気持ちかな。」


アルは静かに微笑んだ。


「少しずつ目覚めているようだな。」


ヨイの力は、まだ誰にも正体が分からない。


だが確かに、この街の命と心を通わせ始めていた。


その日の夕暮れ。


街の入口へ、一台の豪華な馬車がゆっくりと近づいてくる。


金色の紋章。


磨き上げられた車輪。


御者の隣には、鎧を着た護衛騎士。


「……ここが、ゴーストタウンか。」


馬車の中から聞こえた声は、どこか気品に満ちていた。


新たな来訪者は、街へどんな風を運んでくるのか。


ヨイたちは、まだ知る由もなかった。

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