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異世界転生したら学園となりのゴーストタウンでした~怖がらない俺がハロウィンの街を作ったら世界一の観光地になりました~  作者: eccen.
第2章 巨大カボチャを育てよう!

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第15話 リンゴのお礼と、最初の依頼

翌朝。


「社長、おはよう!」


パンプは玄関を勢いよく開けると、両手いっぱいにリンゴを抱えていた。


「見て見て!」


「ずいぶんあるな。」


「昨日のお礼!」


テーブルの上には真っ赤なリンゴが山のように積まれている。


ココは目を輝かせた。


「こんなに食べられるんですか?」


「全部は無理だな。」


ヨイは一つ手に取り、くるくると回した。


「でも、これはチャンスかもしれない。」


「チャンス?」


ルミナが首をかしげる。


「物々交換だよ。」


「交換?」


「リンゴを種や苗と交換してもらう。」


ルミナは手帳を開きながらうなずく。


「お金はあまり残っていないものね。」


「だから知恵を使う。」


ヨイはニヤリと笑った。


「街づくりは工夫が大事だ。」


すると、コンコン、と玄関の扉が叩かれた。


「はい?」


ココが開けると、昨日のミアと、その母親が立っていた。


「おはようございます!」


ミアは元気いっぱいに頭を下げる。


「また来たのか。」


パンプが嬉しそうに駆け寄る。


「遊びに来た!」


「それもあるんですけど……。」


母親は少し緊張した表情で口を開いた。


「お願いがあって来ました。」


「お願い?」


「はい。」


母親は街の外を指差した。


「あの森の入口に、大きな倒木があるんです。」


「倒木?」


「あれで荷車が通れなくなってしまって……。」


ルミナは思い出したように言う。


「確か街道の脇道ね。」


「村のみんなも困っています。」


「でも、人手が足りなくて。」


ヨイは少し考えた。


倒木を片づけても、お金にはならない。


領地の仕事でもない。


けれど――。


「やろう。」


「え?」


「困ってる人がいるなら助けよう。」


ルミナは少し驚いたようにヨイを見る。


「報酬は?」


「なくてもいい。」


「でも……。」


「最初は信用を集める方が大事。」


ヨイは笑う。


「イベントだって同じなんだ。」


「最初から利益なんて出ない。」


「まず『また来たい』って思ってもらう。」


その言葉にルミナは静かにうなずいた。


(この人は、本当に街づくりを知っている。)


前世でどんな経験をしてきたのかは分からない。


でも、人を楽しませる方法だけは誰よりも知っている。


「よし!」


ヨイは仲間たちを見回した。


「今日の依頼!」


「倒木撤去クエスト開始!」


「クエスト!」


パンプが飛び上がる。


「今回は力仕事ですね!」


ココも張り切る。


アルはマントを翻した。


「久しぶりに腕が鳴る。」


「出発!」


みんなは森の入口へ向かった。


そこには、大人が両腕を広げても抱えきれないほどの大木が道を塞いでいた。


「大きい……。」


ココが思わず声を漏らす。


「これは一日じゃ終わらないかも。」


ルミナも眉をひそめた。


ヨイは木の幹にそっと手を当てる。


(長い間、この森を守ってくれてありがとう。)


そんな気持ちが自然と湧いてきた。


すると、胸の奥で昨日と同じ不思議な感覚が広がる。


木の内部。


繊維の流れ。


ひび割れ。


力を入れる場所。


まるで木が「ここを切ればいいよ」と教えてくれているようだった。


「アルさん。」


「何だ?」


「この印の辺りを切ってみて。」


ヨイは幹の一か所を指差した。


アルは斧を振り上げる。


ガンッ!


乾いた音が森に響く。


すると――


バキッ!


予想以上にきれいに幹が割れた。


「えっ!?」


ルミナが目を見開く。


「一撃で?」


アルも驚いた表情を浮かべる。


「今の位置は……。」


「偶然かな。」


ヨイは苦笑する。


だが、偶然ではない気がした。


森が少しずつ、自分に語りかけてくる。


そんな不思議な感覚が、日に日に強くなっていた。


パンプは切り分けられた木を転がしながら叫ぶ。


「道が開いたー!」


村人たちから大きな歓声が上がる。


「通れるぞ!」


「助かった!」


「ありがとう!」


その笑顔を見て、ヨイも仲間たちも自然と笑顔になった。


そして、その中の一人の老人がヨイの前に歩み寄る。


「坊主。」


「はい?」


「礼に、これを持っていきな。」


老人が差し出した袋の中には、色とりどりの野菜の種が入っていた。


「昔から大事に取っておいた種だ。」


「わしらの村では育てきれん。」


「お前さんなら、きっと立派に育てられる。」


ヨイは大切そうに袋を受け取る。


「ありがとうございます。」


袋の中を覗いたルミナが、小さく息をのんだ。


「これ……珍しい品種ばかり。」


ヨイは袋をぎゅっと抱きしめた。


「よし。」


「次は畑をもっとにぎやかにしよう。」


ゴーストタウンの小さな畑は、また一歩、夢へ近づいていく。


そして誰もまだ知らない。


その袋の底に、一粒だけ眠っていた黒く輝くカボチャの種が、後に街の運命を大きく変えることになることを――。

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