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異世界転生したら学園となりのゴーストタウンでした~怖がらない俺がハロウィンの街を作ったら世界一の観光地になりました~  作者: eccen.
第1章 出会いと開拓

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第10話 副代表、任命します!

「よし!」


ヨイは額の汗をぬぐいながら、大きく伸びをした。


「今日はここまで!」


「お疲れさまでしたー!」


パンプが元気よく両手を上げる。


「お疲れさまです!」


ココもぺこりと頭を下げた。


アルは畑を見渡し、小さくうなずく。


「一日でここまで整えるとは思わなかった。」


街の裏手には、きれいに耕された畑が広がっていた。


まだ何も植えられていない。


それでも昨日まで雑草だらけだった場所とは思えないほど景色が変わっている。


「明日から種を植えられるな。」


ヨイは満足そうに笑った。


その時だった。


「ヨイくん。」


ルミナが静かに声をかける。


「ん?」


「少し、話があるの。」


真剣な表情だった。


ヨイは「もちろん」とうなずき、二人は少しだけ離れた場所へ歩いていく。


夕焼けが街をオレンジ色に染めていた。


「どうした?」


ルミナは少し言いづらそうに口を開く。


「最初は……。」


「うん。」


「あなたが危ないことをしていると思っていたの。」


「それは否定できない。」


「否定しなさいよ。」


思わずツッコミを入れてしまい、二人とも笑った。


笑い終えると、ルミナは改めてヨイを見る。


「でも。」


「うん。」


「ここへ来るたびに思うの。」


ルミナは街の方へ視線を向けた。


パンプとココが楽しそうに追いかけっこをしている。


白いゴーストは窓を磨きながら鼻歌を歌っていた。


アルはその様子を穏やかな目で見守っている。


数日前まで「呪われた街」と呼ばれていた場所とは思えない光景だった。


「みんな、本当に楽しそう。」


「そうだな。」


「あなたが来てから変わったのね。」


ヨイは首を横に振る。


「違うよ。」


「え?」


「変わったのは、みんなが頑張ったから。」


「俺一人じゃ何もできない。」


その言葉に、ルミナは少しだけ驚いた。


自分の功績だと胸を張ってもおかしくない。


なのにヨイは、それを仲間の手柄だと言う。


「だから。」


ヨイは笑った。


「もっと仲間が欲しい。」


「……。」


「ルミナ。」


真っすぐ見つめられる。


「お願いがある。」


ルミナの胸がどきりと鳴った。


「な、何?」


「この街を、一緒に作ってほしい。」


一瞬、風が止まったような気がした。


「私が?」


「うん。」


「でも……。」


ルミナは慌てて首を振る。


「私、イベントなんてやったことないし。」


「大丈夫。」


「接客も苦手だし。」


「それも大丈夫。」


「お化けも少し怖いし……。」


「もう慣れてきたじゃん。」


「うっ……。」


反論できない。


確かに最初ほど怖くはない。


パンプやココは、むしろ可愛いと思い始めている。


「それに。」


ヨイは続けた。


「俺、計画を立てるのは好きだけど。」


「うん。」


「細かいことが苦手なんだ。」


「……それは分かる。」


「だろ?」


「すごく分かる。」


ルミナは思わず笑ってしまう。


「予算管理。」


「書類。」


「学園との交渉。」


「買い出し。」


「全部お願いしたい!」


「丸投げじゃない!」


「適材適所!」


「都合のいい言葉ね!」


パンプたちは二人のやり取りを見て笑っている。


「仲良し!」


「仲良しです!」


「まだ違うわ!」


ルミナは顔を真っ赤にした。


「でも……。」


少しだけ考える。


この街に来るたび、胸が温かくなる。


みんなの笑顔を見ていると、不思議と帰りたくなくなる。


そして何より。


ヨイが話す未来を、少しだけ見てみたくなった。


「……分かった。」


小さくうなずく。


「え?」


「手伝うわ。」


ヨイの目が大きく開く。


「本当に?」


「その代わり。」


ルミナは人差し指を立てた。


「無茶をする前には相談すること。」


「はい。」


「予算は勝手に使わない。」


「はい。」


「計画書を書く。」


「……はい。」


少し返事が小さくなった。


「絶対よ?」


「分かりました。」


ルミナは満足そうに微笑む。


「それなら。」


大きく息を吸って言った。


「今日から、よろしくお願いします。」


ヨイは思い切り笑顔になった。


「ありがとう!」


そしてパンッと手を叩く。


「みんな、聞いて!」


パンプたちが集まってくる。


「ルミナが正式に仲間になってくれた!」


「やったー!」


パンプが飛び跳ねる。


ココは嬉しそうに拍手をする。


白いゴーストはその場でくるくる回った。


アルも静かに微笑む。


「それと!」


ヨイはもう一度声を張る。


「今日からルミナは、この街の――」


一拍置いて宣言する。


「副代表だ!」


「えぇっ!?」


一番驚いたのはルミナ本人だった。


「ちょっと待って!」


「待たない!」


「私、今日入ったばかりよ!?」


「でも一番しっかりしてる。」


「それは……。」


「だから決定!」


「そんな理由!?」


パンプは満面の笑みで頭を下げる。


「副代表!」


ココも続く。


「よろしくお願いします!」


白いゴーストまでぺこりとお辞儀をした。


ルミナは困ったように笑う。


「もう……。」


ため息をつきながらも、その表情はどこか嬉しそうだった。


「本当に、変な人たちね。」


夕焼けに染まるゴーストタウン。


かつて「呪われた街」と呼ばれた場所には、今日も楽しそうな笑い声が響いている。


こうして運営チームは五人になった。


イベント好きの領主。


真面目な副代表。


いたずら好きのパンプ。


ドジなゾンビのココ。


そして、少し照れ屋な吸血鬼アル。


世界初のハロウィンフェスティバルへ向けて、仲間たちの新しい挑戦が始まる。

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