99.ヨロギ村
99.ヨロギ村
全員が乗り込んだのを確認し、御者は御者台に座り二頭のスレイプニルに合図を送った。
二頭のスレイプニルは合図に応じていななきを上げ、ゆっくりと車台が動き出す。
東広場を出発した車台は、東門をくぐるとセドナ地方へと通じる道を進んでいく。
これからいくつかの町や村を経由して向かうのだが、ラミア洞窟があるのは、現在は廃村となっているミササギ村を囲むシラズの森を抜けて山道を登った先にある。
スレイプニル車台は滞りなく順調に街道を進み、夕方には最初の町・ドーラに到着した。
宿を取り、ヤモとマオは宿を取り手頃な店で食事を済ませると次の日のスレイプニル車台を予約して早々に宿へと引き上げる。
体力と気力を万全にするためにはしっかりとした休息を取らねばならない。
この行程を三回繰り返しヤモとマオはミササギ村の手前にある村、ヨロギ村に到着した。
ミササギ村とヨロギ村は川を隔てて石造りの一本橋で繋がっている。
廃村となったミササギ村とは異なり、ヨロギ村は栄えているようだ。
ヨロギ村の周囲には広大な規模でザクロの木が植えられており、村人たちの家々や身なりも洗練されている。
様々な飯屋やブティックもあり、旅行客の姿も見受けられた。
村というよりも町に近い華やかさと賑やかさである。
木々には丸々とした赤いザクロがたっぷりと実っていた。
ヨロギ村で育てられたヨロギザクロは非常に高品質かつ甘さと酸味のバランスが抜群で一度食べるとやみつきになるおいしさだ。
王室や貴族層、料理人たちにも人気のあるザクロはタヨロギ村の名産品であり村の大部分を占める収入源である。
ヤモとマオはヨロギ村で宿を取り、夕食を済ませて部屋で休んだ。
ーー次の日。
夜が明けると同時に、ヤモとマオは宿をチェックアウトし、人目を避けながらミササギ村へと続く橋へと向かった。
朝早いからか、活動している村人はまばらだ。
ヤモとマオが通り過ぎても気に留めることもない。
ラミア洞窟を含めた鉱山は立ち入りを禁じられているが、ミササギ村までは入ることが出来る。
だが、好んでミササギ村に行く者はいない。
禁足地の呪いでミササギ村は廃村になったという噂がまことしやかに現在まで語り継がれているからだ。
そのため、村と村を隔てる一本橋に近づく者は一人もいないしいたとしても、村人は無関心。
ラミア洞窟に向かいたいヤモとマオにとっては人目もなく人がいないのは好都合だ。




