96.準備
96.準備
次の日。
マクリール夫妻はいつものように栄養満点の美味しい朝食を用意してくれた。
ラミア洞窟に行くということはマクリール夫妻には伝えない。
ヤモとマオの計画の一端を知ってしまうだけでマクリール夫妻は共犯とみなされて処罰されてしまうからだ。
明日のことは、新しい依頼のためにしばらく遠出になると夫妻には伝えてある。
ヤモとマオの決断にマクリール夫妻を巻き込み共犯にするわけにはいかない。
おくびにも出すことなく、ヤモとマオはいつものようにマクリール夫妻との談笑を楽しみながら朝食を食べ終えた後、ラミア洞窟潜入準備のための買い出しに向かった。
「ヤモおねえちゃん、どんなものをかうのですか?」
「まずは保存食と回復用ポーション。あとは、結界石と大きめのテントとマオが使う寝袋を買いに行こう」
「おそとでねんねするのですね」
「途中の町では宿を取れるがラミア洞窟の手前付近では野営になるからな。テントと寝袋が必要なんだ」
商業街に向かったヤモとマオは店を回り、必要なものを次々に購入していく。
テントはマオとヤモが寛げるのに十分なサイズの物を、マオの寝袋はヒューマンの幼児が使う小サイズの物を選んで購入した。
寝袋はマオの身長よりも大きいが許容範囲だし余裕を持っていたほうが良い。
保存食は不測の事態を考慮して三ヶ月分。手軽に食べられる干し肉やドライフルーツ、硬いパン、焼き菓子などの携行食だ。
調理なしで食べられるのがメリットだが味気ないのがデメリットである。
まだラミア洞窟へと出発もしていないのに、マクリール夫妻の料理が恋しくなりそうだ。
最後に購入したのは結界石。
結界石とは、魔法士を有さない冒険者パーティーに愛用されるマジックアイテムである。
強固ではないものの魔物を寄せ付けない簡易結界を張り巡らせることが出来るのだ。
その上、使用者は結界を自由に出入りが可能という優れた機能と防音機能も持ち合わせている。
「これで、必要な物は全部購入したな。あとは、スレイプニル車台の予約か」
ラミア洞窟があるのはセドナ地方。徒歩で向かうには無謀な距離なため、スレイプニル車台の予約が必須なのだ。
セドナ地方に向かうスレイプニル車台には他にも客が乗る。
他の客たちに紛れ込めば、フレデリカやリーシャ、王都警備隊に知られるリスクは少なくなるだろう。
もちろん、到着してからも油断はならない。
セドナ地方を治め、ラミア洞窟を監督するエウロス公爵家にも、計画と潜入を気取られてはならないのだ。
必要な買い物を終えたヤモとマオは朝イチに出発するスレイプニル車台の予約をし、旅のための路銀も下ろして帰途に着いた。
ーー残すは、明日の計画決行日のみ。




