95.二人で一緒に
95.二人で一緒に
「ヤモおねえちゃん、めいわくをかけて、わがままをいってごめんなさい。でも、マオはどうしてもラミアどうくつにいきたいんです。だから、マオはひとりで…」
「私も行こう」
マオの言葉を遮り、ヤモはマオの頭をなでた。
ヤモの手にはふわふわと柔らかい感触が伝わってくる。
オッドアイの双眸をパチクリさせて、マオはきょとんとヤモを見上げた。
「ヤモおねえちゃんも、いっしょにラミアどうくつにいってくれるのですか…?」
少しの間、ポカンとしていたマオだったが、ハッとして首を横に振る。
「で、でも、そんなことしたら、ヤモおねえちゃんまでわるいこっていわれちゃいます!わるいこは、マオだけでいいのです!」
「私は、マオの指導係兼護衛だ。それに、相棒でもあるんだぞ。一緒に行くに決まっているだろ?悪い子にだって一緒になってやるさ」
「ヤモおねえちゃん…」
ヤモが笑いかけるとゆっくりと、マオの双眸がまたたく間に潤み大粒の涙が浮かび上がった。
マオは涙がこぼれ落ちる前にくしくしと拭うと、安心したように笑顔をほころばせる。
「ヤモおねえちゃん、ありがとうございます!」
「出発は明後日だ。明日は、休息と旅支度をするぞ。ラミア洞窟までは一週間はかかるからな」
「はい、ヤモおねえちゃん!」
下がっていたマオの両耳は元気を取り戻したのを表すように、ぴんっと伸び立った。
「よし、それじゃあ、今日はしっかり休もう。明日は、朝食を食べたら旅に必要なものを買い出しに行こうな」
「はい!マオ、がんばります!」
マオは小さな両手で拳を握り頷いた。
張り切るマオをベッドに寝かせて、ヤモは自分もベッドに横になる。
しばらくすると、隣のベッドからは健やかな寝息が聞こえてきた。
それなのに、マオに休むように言ったヤモの目と意識は研ぎ澄まされたように冴えてしまっている。
まぎれもない。禁足地に挑むという重圧感がそうさせているのだ。
入ったこともない禁足地。ましてや、どんな魔物が潜んでいるのかも分からない。
「準備は怠らないようにしないとな…」
煮こごりのように沈殿しそうな緊張を振り払い、ヤモは無理矢理にでも目を閉じて眠りを選択することにした。




