87.果たされぬ依頼
87.果たされぬ依頼
放たれる迫力はガビたちを黙らせるには十分以上の威力を持っていた。
さすが、王都警備隊隊長を務める実力者である。
『ひぃっ』
ガビたちは情けない小さな悲鳴を上げて身を寄せ合うようにして身体を縮み上がらせた。
「禁足地への不法侵入、さらには同行者の置き去り。加えて店への業務妨害に器物破損。お前たちには相応の罰を受けてもらうからな…!」
低い声で淡々とガビたちに告げたオルフェスは、ヤモとマオの方に向き直ると一転して柔らかな表情に戻った。
「この者たちの身柄はこちらで処理しよう。二人とも、依頼人やギルドへの報告があるだろう?あとは任せるといい」
「よろしくお願いします。私とマオは、これで失礼します。マオ、行こうか」
「はい、ヤモおねえちゃん…オルフェスたいちょうさん、ありがとうございました」
ガビたちからの証言は取れたが、やらなければならないことは山積みだ。
禁足地が関わっている以上、ギルドマスターへの報告とその後の対処が必要となる。
詰所を出たヤモとマオは、ギルドへ向かう前に捜索に協力してくれたオティとハウメアへ礼を伝えるために足を向けることにした
ーーオッティモに到着したヤモとマオに、オティとハウメアは約束通りピザを振る舞ってくれようとしたが、ヤモとマオは丁寧に断りを入れた。
オティとハウメアの温かな気持ちは、しみいるほどに嬉しかったのだ。それは決して嘘ではない。
だが、プリシラのことを思うとニックの最期を思うとヤモもマオも食事が喉を通りそうになかった。
「オティ、ハウメア、本当に申し訳ない…」
「オティおじちゃん、ハウメアおばちゃん、ピザをたべられなくてごめんなさい…」
「気に…するな…また…食べに…くれば…いい…」
「オティの言う通りよ、いつでもおいしいピザを作って待っているわ!ヤモちゃん、マオちゃん、お仕事おつかれさま!」
謝るヤモとマオの様子から何かを察したのか、オティとハウメアは優しく微笑んでくれだのだった。




