86.オルフェスの怒り
86. オルフェスの怒り
ヤモの質問に対してガビは気まずそうに視線を泳がせながら、ボソボソと呟くように言い訳をこぼし始める。
「そんなの…禁足地に入ったことがバレたら、捕まっちまうじゃないですか…」
聞きながら、ヤモは額に手を当てて呆れ果てた。
ニックが魔物に喰われた時点で手遅れだったとしても、救出が不可能だったとしても。
悲劇は避けられなくても、ニックに何があったのかプリシラが知ることが出来たはずだ。
「…オルフェス隊長。私とマオからの聴取は以上となります。お時間をいただき感謝します」
「オルフェスたいちょうさん、ありがとうございました…」
ヤモとマオは席を立ちオルフェスに礼を伝えた。
優先的にガビたちへの聴取準備を整えてくれたオルフェスには感謝しかない。
オルフェスは沈痛な表情で頷くと、ヤモとマオと握手を交わした。
「こちらこそ逮捕への協力に礼を言うよ。それと、君たちの依頼に対して力になれなくてすまなかったね…」
「あ、あの〜?」
そこへ、ヤモたちの顔色を伺うように割って入ってきたのはガビだった。
粘っこい卑屈な半笑いでヤモたちを見上げている。
椅子に括り付けられているため叶わないが揉み手でもしそうな態度だ。
「お、オレたちちゃんと証言しましたよね!だ、だからぁ、帰ってもいいかな〜って…なんて、へへっへへへっ」
『へっ…へへへぇ…』
ニヤニヤと笑うガビと同調するギドとゴズ。
あまりの無神経さに唖然としていたヤモとマオの隣から怒りに満ちた声が発せられた。
「…かなことを言うな」
「へ?」
『へ?』
「馬鹿なことを言うなと言ったんだ…!」
地の底から震わせるような声の主はオルフェス。
眉間には深々と皺が寄り穏やかな印象だった眉も目も、これでもかとばかりにつり上がっている。




