82.聴取
82.聴取
王都警備隊とともに詰所に到着したヤモとマオは、聴取室で三人組から話を聞けることになった。
三人組はそれぞれ椅子に括り付けられた状態で座らされている。
ヤモとマオはテーブルを挟んで対面に腰掛けた。
三人組はとても居心地が悪そうに身体を縮み上がらせて、顔を俯けている。
オッティモでの傍若無人なふるまいが、まるっきり嘘のような態度だ。
このような態度に変わり身するならば、初めから騒ぎなど起こさなければ良かっただろうに。
三人組の背後には万が一に備えてオルフェスが監視のために控えてくれていた。
「まず、お前たちの名前を教えてもらおうか」
ヤモの問いかけに三人組は諦めた様子で、四角張った顔のリーダー格から口を開いた。
「…ガビです」
「…ギドです」
「…ゴズです」
四角張った顔の男が「ガビ」。面長の顔の男が「ギド」。ぶくぶくとした顔の男が「ゴズ」。
「職業は?」
「冒険者…?みたいなものです…。登録はしてないですけど…」
冒険者みたいなもの、とは。
つまるところ、はぐれ冒険者ということだ。
オッティモでの態度とふるまいは、とてもじゃないが冒険者とは言い難い。
冒険者みたいなものなどと名乗ることさえおこがましいことだ。
眉間に深々と皺を寄せたヤモは呆れながら質問を続けた。
「今まで、どこにいたんだ」
「えっと…昨日の夕方に、セドナ地方から王都へ戻ってきました…」
「お前達の似顔絵は門兵に渡していたはずだが、どうやって門を抜けた?」
「あの…王都へ向かう荷物が載った荷台に隠れて…それを仕事にしている業者もいるもんで…」
「王都から出る時も、同じ手段を使っていたのか」
「は、はい…そうです…ほとぼりが、さめたかな〜っと思って…戻ってきました…地方の田舎にいるより、王都は何でもあるから、楽しいじゃないですか…」
ガビの話を聞きながら、ヤモは呆れながらも合点がいった。
どんなに調査を重ねても、ニックと三人組の足取りがつかめなかったはずだ。
ほとぼりが冷めたと思いこんで王都に戻ってきた上に、オティの店で騒ぎまで起こすとは、この三人組はどこまで愚かしい者たちなのか。
ヤモとマオにとっては捜していた三人組を発見出来たことは喜ばしいが、オティとハウメアは店の扉を破壊された上に業務妨害までされたのだ。たまったものではない。
「ニック・ヨハンソンのことを聞かせてもらいたい。どういう関係で彼は今どこにいる?」
「…その、パメラ橋の下で会った…いや、見つけました。あいつが、雇い先を追い出されてそこで寝泊まりしていたところに、俺たちが通りかかって…声をかけました」
ガビは緊張しているのか、話しながら乾いた唇をせわしなく舐める。
「身の上話を聞くふりして持っている酒を飲ませて、酔ったところを身ぐるみはいでやろうかなって思っていたら、あいつが頼みがあるって言い出したんです…」
「頼み?」
「石を採りに行きたいから、一緒についてきてくれって頼まれました…頼みを聞いてくれたら有り金を全部くれるって言うもんで…」
「何の石を、どこに取りに行ったんだ?」
ヤモがその質問をした途端に、三人組はガタガタと震え出し、顔色はみるみるうち死人に匹敵する土気色になっていく。
怯える三人組の姿は、まるで目に見えない得体のしれない恐怖に追い立てられているかのようだ。
ガビはしばし身体を震わせていたが、やがて戦慄き震える声で言った。
「お、面影石を…ラ、ラミア洞窟に取りに行きました…!」
「――ラミア、洞窟…!?」
脳天を殴られるような衝撃がヤモを襲った。
ヤモだけではない、三人組の背後ではオルフェスも顔面蒼白で愕然としている。




