80.捕縛
80.捕縛
「なんだぁ?テメエらぁ」
『なんだなんだ!』
この腰巾着の三人はいちいちユニゾンしなければ気がすまないのだろうか。
まったくもって激しく癇に障る。
「私たちは、お前たちに聞きたいことがある。一緒に来てもらおう」
「聞きたいことだぁ〜?テメエらに話して聞かせることなんかありゃしねぇ〜よ」
「ニックさんのことです!」
「ーーニッ…ニック!?」
『ひぃっ』
マオがニックという名を口にした途端、明らかに三人組の表情と顔色が瞬時に変化した。
先程までの他者を小馬鹿にするような嘲笑は怯えたような引き攣った表情になり顔色は真っ青だ。
ヤモは追撃をするように、次はニックの写真を三人組に見せた。
「ニック・ヨハンソンを知っているな?」
「こ、こんな奴、し、知らねえ!」
リーダー格の男は虚勢を張るかのように声を荒らげたが、唇は戦慄き肝心の声にまで恐怖心が表れてしまっていた。
腰巾着二人にいたっては声も上げられずにガタガタと震えている。
間違いなく、三人組はニックに対して後ろめたいことを隠している。
マオとヤモは、畳み掛けるようにして三人組へ二の矢三の矢を放った。
「マオたちはニックさんをさがしてます。おじちゃんたち、ニックさんはどこにいるのですか?」
毅然としたマオの問いかけに三人組は泳がせるようにして視線をそらす。
「し、知らねえ!知らねえよ!俺たちは悪くねえ!!」
『シラナイ…シラナイ…』
言葉とは裏腹に三人組の態度は、ニックを知っています、俺たちは怪しいですと宣言しているようなものだ。
ヤモはマオと顔を見合わせてから、三人組に向けて溜息をついた。
「知らぬ存ぜぬは通らないぞ。じっくり話を聞かせてもらおう」
ヤモが三人組を見据えて前に進み出ると、三人組は怯んだ様子で後退りをする。
チラチラと後ろを伺おうとしているのは、あわよくば逃げようという魂胆だろう。
だが、ヤモとマオとしてはようやく発見できた手がかりを逃がすわけにはいかない。
臨戦態勢に入ろうとしていたヤモの視界。
正確には、三人組の背後へと静かな動作で回り込む人物が二人。
屈強な身体つきの若者が二人、三人組から逃げ道を塞ぐようにして仁王立ちしていた。
二人の若者は店内で食事をしていた客だ。
二人はヤモと目が合うと合図をするように小さく頷いた。
その合図をヤモは汲み取る。
ヤモは、頼もしい助っ人をかって出てくれた若者たちに微かに頷き返した。




