8.ギルドマスターからの依頼
8.ギルドマスターからの依頼
冒険者ギルドがあるのは王都中心部だ。建物は二階建て。入り口正面の上部にはにはギルドの象徴であるカミツレの紋章が掲げられている。
中に入ったヤモは訪れていた冒険者たちや他のギルド職員への挨拶もそこそこに、二階にある部屋へと案内された。ギルドマスターの私室だ。
「マスター、ヤモさんをお連れいたしました」
リーシャがノックの後に部屋の中に声をかけ、ドアを開ける。まず見えるのは真ん中に置かれた長方形のテーブルとそれを挟むように配置された四人がけのソファが1つずつ。奥には窓を背にした重厚な机。
「やあ、ヤモ。休日に呼び出してしまってすまなかったね」
書類に目を通していたのを中断し、この部屋の主は立ち上がりヤモを出迎えた。
マニッシュショートにしたアッシュグレーの髪に涼し気なすみれ色の瞳。小麦色の肌。凛々しい顔には悠然とした笑みを湛えていた。
カジュアルなダークスーツをすんなりとした体躯で着こなしている。
彼女が、若くして大陸最強最大のギルドのトップに立つギルドマスター・フレデリカ・ローゼン。剣聖の称号を保持する異色のギルドマスターだ。
「もうっ、マスター!今日は、ヤモさんはマクリールご夫妻とご予定があったそうですよ!後ほどお礼に伺うので一緒に来てくださいね!」
普通の冒険者ならば、フレデリカに対して威勢よく口などは聞けない、というより聞ける勇気を持つ者はいない。が、リーシャは違う。堂々とフレデリカに物申せる数少ない人物だ。
「おや、それは悪いことをした」
「まったくだ」
かくいうヤモも、リーシャ同様に臆することなくフレデリカに物申せる一人である。促されるのを待つことなくヤモはソファに腰を下ろした。
フレデリカは椅子に座り直し、リーシャは手早く淹れた紅茶のカップを、二人の前に置く。リーシャに礼を言い紅茶を一口飲んでから、ヤモは口を開いた。
「用件は仕事の依頼なんだな?」
「うん、君に仕事の依頼をしたい」
「どうした?大規模な魔物討伐でもあるのか?」
至急の呼び出しと仕事の依頼からヤモは内容を想像した。しかし、フレデリカはヤモの想定を首を振って否定する。




