78.不穏な訪れ
78.不穏な訪れ
しかしながら、残念なことにオティたちの協力をもってしても結果が実ることはなかった。
「いやぁ…見ない顔だな」
「ごめんなさい、見覚えがないわ」
協力してくれた飲食客のみんなが、申し訳なさそうに首を横に振った。
ニックが指輪とブレスレットに使うための石を採りにいくため、この三人組と行動を共にしていたのは確実なのだ。
だが、その重要な三人組の足取りがつかめない。
四大地方を一つずつ巡る捜索が現実味を帯びてきている。
「おじちゃんたちみつからないですね…」
「そうだな…まったく、こいつらいったいどこにいるんだか」
オティとハウメアに勧められ、カウンターに座らせてもらったヤモとマオは項垂れた。
ヤモは忌々しいとばかりに三枚の似顔絵にデコピンを食らわせる。
デコピンを食らった紙は乾いた音を鳴らして、その
身をたわませた。
「ヤモちゃん、マオちゃん!おつかれさま、朝から頑張っているのよね?少し休憩するのはどう?」
「食べて…元気…出す…」
ヤモとマオの前に水入りのコップが置かれる。
ふわりと水から漂う甘酸っぱく爽やかな匂いは、柚子の香りだ。
言われて気付いたが、時刻は昼時。自覚した途端にヤモとマオの腹の虫が同時に鳴き声を上げた。
「マオ、いったん昼食にしようか」
「はい、ヤモおねえちゃん!マオ、おなかペコペコになりました!」
ここでへこたれてなどいれない。プリシラに必ずニックを探し出すと約束したのだ。
午後からに備えてまずは腹ごしらえをして英気を養わなければ。
「マオ、何が食べたい?好きなのを選んでいいぞ」
「マオ、マオはですね」
ヤモがメニュー表を開くとマオは双眸をキラキラさせながら、メニュー表とにらめっこを始めた。
真剣な顔で吟味するヤモとマオをオティモッティとハウメアは微笑ましく見守る。
「マオ、きめました!」
しばしして、マオは凛々しく手を上げた。
ぺむっとマオの小さな手が一つのピザメニューの上に置かれる。
「マオ、ミックスチーズパイピザにします!」
「ミックスチーズパイピザだな。じゃあ、私は極辛ハバネロピザを頼もう」
「ミックスチーズパイピザと極辛ハバネロピザね、かしこまりました!オティ、お願いね!」
「あい…よ…!」
ハウメアとオティが柔らかな笑顔で応じる。
オティが手早く生地を準備し、伸ばし始めた。
その直後。
けたたましい音を立てて店の扉が開いた。
いや、正確には店内に向かって倒れてきたのだ。
本来は引いて開けるべき扉を足で蹴り飛ばしたのだろう。
オティはピザを作る手を止め音の方へ視線を奔らせ、ハウメアは両肩を震わせた。
店内には食事や談笑をしていた人々から微かな悲鳴がざわめき、飲食客すべての視線が音の方向へと向けらる。
「ーー!?」
「ぴゃっ」
ヤモとマオも何事かと扉の方へと視線を向けて、ぎょっとした。




