72.リーシャの転写魔法
72.リーシャの転写魔法
「こんにちは、ヤモさん、マオさん!おつかれさまです!」
「リーシャおねえちゃん、こんにちは!」
「お疲れさま、リーシャ。今日は頼みがあって来たんだ」
冒険者ギルドに到着したヤモとマオは、さっそく似顔絵をリーシャに見てもらった。
「この似顔絵の三人組に見覚えはないか?」
「うーん、そうですね…」
三枚の似顔絵を受け取ったリーシャは、じっくりと視線を落として考え込んだ。
固唾を呑んでヤモとマオが待つ中、リーシャは似顔絵から視線を上げた。
リーシャの表情には落ち込んだような色が浮かんでいる。
その表情が答えを物語っていた。
「すみません…ヤモさん、マオさん。この方たちには見覚えがないです。ギルド所属でないのは間違いないのですが…」
「そうか…ありがとう、リーシャ。それが分かっただけでも収穫だ」
「リーシャおねえちゃん、ありがとうございます!」
「お力になれなくてすみません…あ、そうだ!ちょっと待っていてくだいね!皆さん、こちらに集まっていたただけますか?」
しょぼんとしていたリーシャだったが、すぐに切り替えて受付カウンターから他の冒険者たちに声をかけた。
リーシャからの呼びかけに冒険者たちがわやわやとカウンターに集まってきてくれる。
「皆さん、この三人の方に見覚えはありませんか?あれば、教えていただきたいのです」
リーシャから似顔絵を渡された冒険者たちは、似顔絵を見ながら首を傾げた。
「いやぁ…見覚えのない奴らだな」
「私も、見たことないわ」
「同業なら顔を合わせるはずだけど、こいつらは見たことないぜ」
しかし、残念ながら冒険者たちの中からも三人組を知っている人物は一人も現れなかった。
「ヤモさん、マオさん。この似顔絵を転写させていただいてもいいですか?明日、ギルドの方からも手配をかけて他の冒険者の皆さんにも聞いてみますね!」
「ありがとう、忙しいのにすまないな」
「お安い御用ですよ!少し待っていてくださいね!」
リーシャは引き出しから無地の紙を三枚の取り出すと、その紙に似顔絵が描かれた紙を重ねていった。
マオはリーシャの手元を興味津々に見入ってる。
リーシャが紙に手をかざす。
すると、紙が淡い光を帯びていき、一瞬強く光ったと思うと光は紙に吸い込まれるようにして消えていった。
「うん、きれいに転写できました!」
満足気に微笑むリーシャの言う通り、三枚の似顔絵がそっくりそのまま無地だった用紙に転写されている。
「予備に、何枚か転写しておきますね」
リーシャが使ったのは転写魔法。初歩魔法の一つでポピュラーな魔法だ。




